契約締結日に起きた出来事
正式な契約締結の日。私は製造責任者である兄とともに再訪しました。
すると秘書は、兄の作業着姿を見て、やや軽んじるような口調で「本日はずいぶんカジュアルなのですね」と言ったのです。兄は事前に私から事情を聞いていたため、冷静に対応しました。
会議室に入ると、社長だけでなく複数の役員が席に着いていました。実は先日、当社が開発した新型部品が口コミで話題になり、兄は開発責任者として注目されていたのです。
社長は笑顔で「御社の新製品は非常に注目されています。本日はその部品の納入契約を正式に結びたいと思います」と言いました。
信頼関係を守るためのひと言
契約書に署名する前、兄が静かに口を開きました。
「一点だけ確認させてください。これまでのやりとりの中で、弊社が立場を理由に軽んじられるような発言がありました。対等な信頼関係を築けるかどうか、そこを大切にしたいと考えています」
兄は、その場のやりとりを記録していたメモを示しながら説明しました。社長と役員の皆さまは状況を真摯に受け止め、すぐに「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。社内体制を見直します」と謝意を示してくださったのです。
その誠実な対応に、私たちも安心することができました。








