
私は総合日用品メーカーに勤める29歳です。数年前、同じ部署に配属されたA男さんと出会いました。第一印象は、正直に言えばとても控えめな人。話しかけても「えっと、その……」と戸惑う様子で、目を合わせることも少なく、職場でもどこか緊張しているように見えました。
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厳しかった彼の生い立ちと、私たちの出会い
私は、同じ部署に配属されたA男さんの指導担当になりましたが、当初は「もしかして私のことが苦手なのかな」と戸惑うこともありました。それでも、業務を通じて少しずつ言葉を交わすうちに、彼はゆっくりと心を開いてくれました。
きっかけは何げない昼休みの会話でした。「最近、お弁当少なめですね」と声をかけると、彼は照れながら「節約していて……」と答えました。「ちゃんと食べないと体がもたないですよ」と、私のお弁当を少し分けたことが、距離を縮める第一歩になりました。
ある日、彼は「実は、家ではあまり自分の意見を言える環境ではなくて……。人と話すのが少し怖いんです。でも、あなたはちゃんと話を聞いてくれる」と打ち明けてくれました。
その素直な言葉に、私は胸を打たれました。誠実で、やさしく、不器用な彼に、私は少しずつ惹かれていったのです。
結婚のあいさつで突きつけられた言葉
数年の交際を経て、私たちは結婚を決意しました。母子家庭で育った私にとって、母に安心してもらえる報告になるはずでした。しかし、彼の実家でのあいさつは、想像とは大きく異なるものでした。
席に着くなり、彼のご両親から私の家庭環境について厳しい言葉を向けられたのです。
「母子家庭では、うちとは価値観が合わないのではないか」
「わが家にはふさわしくない」
真意を測りかねる発言も多く、正直、胸が締め付けられました。
A男さんが説明しようとしても、ご両親は強い口調で話を続け、場の空気は重くなるばかりでした。その様子を見て、私は彼がこれまでどんな思いで育ってきたのかを、初めて実感したのです。








