離婚後、料亭との縁から始まった農家支援
その後、妻とは話し合いを重ね、最終的に離婚という形でそれぞれの道を歩むことになりました。そして娘のA子は、私と暮らすことを望んでくれました。
離婚後しばらくして、娘と2人でその料亭を再び訪れました。そのとき、店を支える若い責任者のB美さんから、仕入れ先の農家について相談を受けました。人手不足や天候の影響で、廃業を考える農家が増えているというのです。
そこで私は、農作業管理や出荷予測をサポートするシステムの導入を提案しました。高齢の方でも使いやすい設計にし、作業計画や収穫量の見通しを立てやすくする仕組みです。これを取り入れた農家の経営は少しずつ安定し、後継者が現れたところも出てきました。料亭にも、再び安定して新鮮な野菜が届くようになったそうです。
その評判を聞いたのか、元義父の会社から農家へ取引の打診があったと聞きました。ただ、供給量などの条件が厳しく、農家の方々も慎重になっていたようです。私は契約内容をよく確認し、無理のない形で取引を進めるよう助言しました。
仕事で再び向き合うことになった元義父
同じころ、元義父の会社でも物流や勤怠管理のシステムに課題があることがわかってきました。私は個人的な感情とは切り離し、「必要であればIT面で協力できます」と連絡を入れました。
最初は戸惑っていた元義父でしたが、私たちの会社の提案や、取引先の飲食店、農家の声もあり、最終的にシステムを導入することになりました。改善には時間がかかりましたが、約1年後には物流管理も安定し、納品トラブルも大きく減ったと聞いています。
離婚を経験し、家族の形は変わりました。それでも仕事において大切なのは、会社の規模や肩書きではなく、信頼を積み重ねていくことだと改めて感じました。
地域の農家や飲食店、企業が無理なく続けていける仕組みをつくること。それが仕事のモチベーションになっています。
まとめ
あの料亭での出来事から、私の人生は思っていた以上に大きく動きました。家族の形は変わり、価値観の違いと向き合うことにもなりましたが、その経験があったからこそ見えてきたものもあります。
妻の実家が営む会社を継がずに自身で起業するという選択は、周囲から見れば遠回りに見えたのかもしれません。それでも、自分の信じた道を進んできたことで、料亭や農家の方々など、新しいご縁にも恵まれました。結果として、かつての義父と仕事で向き合うことになったのも、人生の不思議な巡り合わせだったのだと思います。
今は娘と2人で落ち着いた日常を送りながら、仕事に向き合っています。これからも大きな成功を求めるというより、目の前の仕事を丁寧に積み重ねていくこと。その先にまた新しい縁が生まれるのだろうと感じています。
遠回りのように見えた選択も、振り返ればすべて今につながっていました。そう思えるようになったことが、私にとっては何よりの収穫なのかもしれません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。








