
私は50歳。新卒のころから勤めている会社で事務職をしています。気心の知れた仲間たちと働ける日々に、やりがいを感じていました。その一方で、家庭では悩みが絶えませんでした。家事をほとんどせず、私に文句ばかり言ってくる夫と、会うたびに嫌みを言ってくる義母……。正直、何度も離婚を考えましたが、娘が独立したばかりで心配をかけたくないという思いもあり、なかなか踏み切れずにいました。しかしある日、状況が一変する出来事が起きたのです。
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夫が突然持ち出した同居話
ある日、義母が認知症の初期段階と診断されたと、夫から聞かされました。まだひとりで生活できているものの、今後は日常生活の見守りや介護サービスの利用も考えていく必要があるとのことでした。
義母は食事や着替え、入浴などは自分でできていたものの、同じ物を何度も買ってしまったり、通院日を忘れたりすることが増えていたそうです。近所に住む義母の弟夫婦が時々声をかけてくれ、私たちも週末に様子を見に行っていました。ですが、このまま1人暮らしを続けるには不安が出てきた段階でした。
私は、まずは地域包括支援センターや自治体の窓口に相談し、義母に合った支援を考えたほうがいいと思っていました。しかし夫は、私に相談する前から結論を出していました。
「母さんをうちに呼んで同居しよう」
私は突然のことに驚きました。今まで義母から嫌な思いをさせられてきても、夫は一度も私の味方をしてくれませんでした。それでも別居だったから、何とか距離を保てていただけです。同居となれば、今までのように受け流すことはできません。
もちろん、家族としてできる範囲で手助けするつもりはありました。通院の付き添いや手続きの確認、介護サービスを探すことなら、私も協力できると思っていたのです。
けれど、同居して日々の家事や介護をすべて引き受けるとなれば話は別です。私たちは共働きで、日中ずっと家にいられるわけではありません。無理に家族だけで抱え込むより、早い段階で外部の支援につなげるほうが、義母にとっても安心だと思いました。
「私たちだけで全部を抱えるのは現実的じゃないわ。まずは公的な窓口に相談しましょう」
「介護サービスや施設入居も含めて、お義母さん本人の希望を聞きながら考えたほうがいいと思うの」
そう伝えると、夫は不機嫌そうに「俺の母親なんだぞ? 冷たいな」と言いました。
「仕事を変えればいい」と言われて
続けて夫は、「同居は決定事項だ」と言い放ちました。そして、まるで最初から私に介護を任せるつもりだったかのようにこう続けたのです。
「お前には今の仕事を辞めてもらうつもりでいる。トイレとか風呂とか、母さんだって同性に手伝ってもらったほうがいいだろ。お前は在宅でできる仕事を探せばいい」
「母さんと弟にも、そういう話で進めると伝えてある。2人ともそれでいいってさ」
その瞬間、胸の奥がすっと冷えていくのを感じました。義母のことを心配しているというより、私に介護を押し付け、さらに在宅で仕事も続けさせるつもりなのだとわかったからです。
そして、私の同意も得ずにその話を周りへ伝えていたことにも、強い違和感を覚えました。長年、私の意見をないがしろにしてきた夫の姿勢に、もう耐えられませんでした。
「自分の母親のことなのに、どうして私が仕事を変える前提なの?」と反論すると、夫は声を荒らげました。
「お前が家にいればヘルパーを頼まなくて済むだろ。余計なお金もかからない」
その後も話し合いは平行線のまま。私がどれだけ反対しても、夫は「もう決まったことだ」と繰り返すばかりでした。さらに夫は、義母の荷物を運び込むために、引っ越し業者へ連絡していたのです。私には相談もなく、搬入予定日まで決めていました。
そして夫は、「俺は来週から出張だから、母さんの家に行って荷物をまとめるのを手伝っておいてくれ」と言い残し、1週間の出張に出ました。








