
定年退職まであと数年となった50代の夫が、近ごろお金にシビアになりました。これまでは私にキャッシュカードを預け、生活費を引き出すのも任せきりだったのに、ここ数年は夫が自分で引き出し、現金で渡すようになりました。まとまった出費の相談をしても「そんな金ない」の一点張り。自分の欲しいものにはお金を使う一方、家族のためのお金は出し渋る……そんな姿を、ついに息子の前でさらしてしまった夫の話をします。
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息子の就活スーツ代は出さない
大学院に進学した息子から、就活用のスーツを買いたいと相談されたのは2年前のことです。大学の入学式に購入した黒のスーツは、成人式や論文発表会などでだいぶ着古して、サイズも合わなくなっていました。
スーツは社会に出てからも必要です。着回しを考え、紳士服の専門店で2着購入してもらおうと、私は10万円を渡すつもりでした。私が全額出すこともできましたが、息子の門出に向けた準備に夫にも関わってほしいと思い、夫に5万円ずつ出し合わないかと持ち掛けました。
ところが、夫から返ってきた答えは「そんな金ない」。理由を聞くと「大学院まで十分お金を払ってやったのだから、これ以上出す必要はない」と言うのです。
「そうすると私が全額出すことになるけど、それでもいいの?」と聞くと「それでいい」とあっさり。あきれましたが、そのことは息子には話さず、ただ10万円を渡しました。
息子と銀座に繰り出したものの…
息子の就職が決まり、卒業を待つばかりとなったある日、夫は息子と銀座に出かけていきました。息子が生まれたときに夫が「いつか息子に譲れるように」と買った腕時計のオーナー登録情報を変更するためです。
出がけに「銀座まで行くなら、おいしいものを食べてきたら?」と言うと、息子は「銀座で寿司を食べさせてくれるみたいだよ」と喜んでいました。「お寿司、いいなぁ」とうらやむと、夫は「一緒に行くか?」と聞いてきましたが、せっかく父子水入らずで銀座に繰り出すのだから、私の分までいいものを食べさせてやってと言い、2人を送り出しました。
ところが、夜に帰宅した息子の顔は沈んでいました。「お寿司、食べられた?」と聞くと「いや……」と言葉を濁します。「食べなかったの?」と聞くと「寿司じゃなくて、そばを食べてきた」とつぶやきました。
私は思わず「えっ? 男2人で夕食におそばを食べたの?」と聞き返してしまいました。すると夫は「目当ての寿司屋が混んでいて入れなかったんだよ」と言い、そば屋にしたのは息子が食べたいと言ったからだと弁解しました。息子は一瞬驚いた様子を見せたものの「もういいから」と話を切り上げ、自分の部屋へ入ってしまいました。







