下肢静脈瘤の原因は遺伝、立ち仕事、出産、加齢

――下肢静脈瘤はどのような原因で引き起こされるのでしょうか。
佟先生 一番大きな原因は遺伝です。片方の親御さんが下肢静脈瘤の場合は50%、両親ともに下肢静脈瘤の場合は90%の確率で下肢静脈瘤を発症するというデータがあります。同じ生活環境や労働環境でも、下肢静脈瘤を発症する人としない人がいるのは遺伝的な理由が大きいんです。
立ち仕事も下肢静脈瘤の原因の一つです。立っている状態では血液が重力に逆らって下から上へ流れようとします。つまり、逆流防止弁に常に負担がかかっていることになり、働きが悪くなったり壊れてしまったりする可能性があります。
また、出産も原因の一つに挙げられます。妊娠時には女性ホルモンの影響で逆流防止弁が柔らかくなります。さらにおなかが大きくなると足の付け根の静脈が圧迫されて血流が悪くなるため、逆流防止弁に負担がかかりやすくなります。近年の研究によって、出産経験のある女性の2人に1人は下肢静脈瘤を発症すると報告されています。
加齢も原因の一つとされています。年齢を重ねるにつれて、体内の軟部組織(肌や筋肉などの柔らかい部分)の強度が弱くなってくるからです。静脈内の逆流防止弁も軟部組織の一つですから、年齢とともに血液の逆流を防ぐ力が弱まると考えられます。
医学界では40歳以上の約半数が下肢静脈瘤になるといわれており、男女比はほぼ1:2で女性が多い傾向があります。
実際、私がこれまで治療をしてきた約1万人の下肢静脈瘤の患者さんのうち、40代~50代の女性が半数以上を占めます。上記のセルフチェックで当てはまる項目が多い人は、血管外科や下肢静脈瘤クリニックの受診をおすすめします。
※解説内容はすべて、大阪静脈クリニック・佟暁寧先生の見解によるものです。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
取材・文/熊谷あづさ(50歳)
ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。








