
私は地方の別荘や老朽化したヴィラを再生する会社を経営しています。物件の価値を見極め、改装計画や運営、集客まで一貫して手がけ、埋もれた不動産を魅力ある施設へと生まれ変わらせる仕事です。ある年、久しぶりに家族旅行を計画しました。仕事で関わりのある一棟貸しのヴィラを利用できることになり、私なりに準備を進めていたのですが、旅行当日、思いがけない言葉を告げられたのです。
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家族旅行で告げられた言葉
実は私は中学卒業後、早くから働き始めました。最終学歴は中学卒業ですが、古い建物の状態を見極めたり、改装後の運営まで考えたりする力は、現場で身につけてきたものです。結婚したころの妻は、私の学歴を気にする様子はありませんでした。
しかし、結婚後に義両親と接する機会が増えるにつれ、少しずつ空気が変わっていきました。義両親は、私が中学卒業後すぐに働き始めたことをよく思っていないようで、仕事についても軽く見るような言い方をすることがありました。そして妻もいつの間にか、私を家族の中で一段下に置くような態度が増えていったのです。
それでも私は、家族旅行くらいは楽しく過ごしたいと思っていました。今回利用するヴィラは、私の会社が管理・運営に関わる一棟貸しの宿泊施設です。玄関横のキーボックスから鍵を取り出して入室する仕組みで、暗証番号は利用代表者にだけ伝えられていました。今回の利用代表者は私だったため、暗証番号を知っているのも私だけでした。
ところが到着すると、義母が冗談めかした口調でこう言いました。
「あら、いいヴィラじゃない。あなたが手配したにしては立派ね。あなたは庭にテントでも張って寝たらいかが?」
すると妻まで「今回は久しぶりに家族水入らずで過ごしたいの。手配はしてくれたんだから、あなたはもう帰ってもいいわよ」と言い放ったのです。
その瞬間、私は言葉を失いました。妻の言う「家族」の中に、私は含まれていなかったのです。しかも、私が手配した宿泊先で、私だけ外で寝ればいいと言われるとは思ってもいませんでした。
言い返したい気持ちはありましたが、義両親の前で口論になれば、さらに事態がこじれるだけだと思いました。私はその場にいる気力を失い、家族旅行を楽しむどころではなくなっていました。暗証番号のことも頭から抜け落ちたまま、その場を離れてしまったのです。
思わぬ行き違い
妻たちは、私がいなくてもそのままヴィラを利用できると思っていたようでした。しかし、暗証番号がわからなければキーボックスを開けることはできません。
本来なら、利用代表者である私に確認するのが自然だったと思います。けれど、自分たちからあのようなことを言った手前、すぐに私へ連絡するのは気まずかったのでしょう。妻たちはまず管理会社へ連絡し、「キーボックスの暗証番号を教えてほしい」と頼んだそうです。
しかし管理会社としては、会社の方針として、利用代表者である私の確認なしに暗証番号を伝えることはできないとのことでした。担当者からも「暗証番号は代表者の方にのみお伝えしています」と説明されたとのことでした。そこで妻たちは、ようやく私に連絡してきました。
「暗証番号がわからないから戻ってきて」
そう言われたとき、正直なところ戻る気にはなれませんでした。けれど、仕事で関わる管理会社にこれ以上迷惑をかけるわけにはいきません。家族のためというより、関係先への責任として、私はヴィラへ戻ることにしました。
暗証番号を入力し、鍵を開けた後も、妻や義両親からきちんとした謝罪はありませんでした。私は同じ空間にいながらも、まるで自分だけが外側にいるような気持ちで過ごしました。当然、旅行を楽しめるはずもありませんでした。








