
私は有名ホテルのパティスリー部門で経験を積み、現在は自分のケーキ店を経営しています。開店準備を進めていたある日、契約農家で果物の生産と納品を担うA子さんが、いつもとは違う暗い表情で店を訪れました。何かあったのだろうかと声をかけると、思いがけない話を聞かされたのですーー。
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突然の納品キャンセル
A子さんによると、これまで長く取引していた老舗ケーキ店から、突然マスカットの納品をキャンセルされたとのことでした。理由は「海外産のほうがコストを抑えられるから」というもので、納品直前の一方的な連絡だったそうです。
あまりにも理不尽な対応に驚きつつ、私はまずそのマスカットを見せてもらいました。
ひと目見て、その品質の高さに驚きました。粒の張り、色味、香り……。どれを取っても素晴らしく、このまま行き場を失うのはあまりにももったいないと感じました。
私はその場で「全部うちで買い取ります」と伝えました。
品質を信じて新商品を発売
これまで私の店では、マスカットをメインにしたケーキを扱ったことはありませんでした。
ですが、A子さんのマスカットは味が濃く、果肉もしっかりしていて、生クリームやスポンジにも負けない力があると感じたのです。
そこで新商品として、「マスカットショートケーキ」を発売することにしました。するとこれが予想以上の反響を呼び、連日多くのお客さまにご購入いただける人気商品となりました。
さらに、A子さんの農園の他のフルーツも使ったケーキを次々と考案したことで、店の評判も大きく広がっていったのです。








