
兄夫婦が営む小さな工場で、私は営業兼配送を担当しています。毎月ネジを納品している取引先のA社とは、10年以上の付き合いがありました。ところが半年前にA社の社長が代替わりしてから状況が一変。新社長は、私たちの仕事も事情も理解しようとせず、会うたびに暴言を吐くようになったのです――。
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代替わりした取引先で起きた変化
以前のA社は、気さくな前社長と少人数の社員たちで切り盛りしている、雰囲気のいい会社でした。私たちの工場で作っている特殊ネジを毎月100本ずつ注文してくれていて、納品のたびに「いつも助かってるよ」と声をかけてもらっていたのです。
ですが、半年前に社長が代わってから、会社の空気は一気に変わりました。新社長は経費削減を進め、人員整理もおこなわれていました。残った社員たちに対しても怒鳴ることが増え、工場全体が張り詰めた雰囲気になっていったようなのです。
営業担当の私への態度も厳しくなりました。ある日、いつものように納品へ向かった際も、「遅ぇな。それにお前んとこの商品、高すぎるんだよ」と、不機嫌そうに言われました。
私は事情を説明しながら対応していましたが、新社長は、「ホームセンターのネジのほうが安いだろ」「弱小工場のくせに偉そうなんだよ」と、こちらを見下すような発言ばかり。
私は内心腹が立ちながらも、「もし価格面が合わないようでしたら、ご検討ください」とだけ返し、その場を離れました。
兄夫婦に支えられながら続けた仕事
A社から戻るたび、私は兄夫婦に愚痴をこぼしていました。すると兄は、「いつも嫌な役を任せてごめんな。本当は俺が行きたいくらいだよ」と、気づかってくれました。
義姉も、「前の社長さんは、ちゃんと価値をわかってくれていたのにね」と心配してくれていました。
実は私たちの工場は地方の山間部にあり、材料の搬入や配送にも時間とコストがかかります。私は毎月、片道数時間かけてA社まで納品を続けていました。兄も、「材料費も輸送費も上がっているのに、うちは値上げせず頑張ってるんだけどな」と苦笑していたほどです。
それでも私たちは、「必要としてくれる取引先がある限り、誠実に仕事を続けよう」と考えていたのです。








