
76歳になる父は、約1年前、整形外科で股関節の手術を受けた後、リハビリが思うように進まず、介護が必要な状態になりました。入所している介護施設から許可が下り、日帰り帰宅したある日、食卓で熱々のとんかつを食べることになったのですが、そこで父がまさかの行動に出たのです。
★関連記事:「親の通帳は私が預かる」介護費用の不透明さを解消し親族からの信頼を勝ち取った母の管理方法
帰宅した父を囲み、久しぶりの家族団らん
40代後半の私は、両親と3人家族。ある日、股関節の手術以降、介護施設に入所している父が、介護タクシーを利用して日帰りで帰宅してきました。父は車椅子に乗っています。自宅にあらかじめ設置しておいた段差のスロープを使い、介護タクシーのドライバーが、安全に家の中まで移動させてくれました。
父が無事に到着して、私と母はひと安心。リビングで、父のために介護仕様に高さを変えたこたつに座り、3人でしばらくおしゃべりを楽しみました。それからテレビを見たり、みかんを食べたり、本当に久しぶりの家族団らんです。みんなでたくさん笑う時間を過ごしました。
ただ、心配だったのは父のトイレ。施設で寝ていることが多くなった父は、筋肉が弱り、立ち動きがままならない状態です。しかし母は、「これからの自宅介護に向けた予行練習よ」と笑顔で話し、ためらうことなくトイレの介助もしていきました。
父が思わぬ行動、そしてひと言
しばらくして、母が「ちょっと早いけどお昼ごはんにしよう」と切り出し、私と2人で昼食の準備を始めます。父が常々言っていた「家に帰ったら、とんかつとうなぎが食べたい」というリクエストに応え、母は奮発してスーパーでパック売りのうなぎを買い、お手製の甘辛く濃いうなぎのタレを手作りしました。
そこへ炊きたてのご飯が登場! うなぎを乗せ、父好みにタレをたっぷりとかけて、うな丼の完成です。そして揚げ立てのとんかつも準備完了。母は父のために、朝からせっせと準備をしていたのです。私も母を手伝い、揚げたてのとんかつは父が食べやすいように小さくカットして、さあ食卓へ。
みんなで「いただきます」をする前、テーブルに運ばれた熱々のとんかつを見た父は、突然、箸ではなく、なんと手でつかみ、口に入れたのです。私は慌てて、「お父さん、やけどするよ、危ない! 箸で食べて」と、キッチンペーパーを使って熱かったであろう父の手から、とんかつを離そうとしました。
しかし父は、それに構わずぎゅっと手でつかんだまま食べ続けます。1切れ、2切れ……。私たちが必死に止めようとしても、ものすごい剣幕で、黙々と食べる父。やけどの心配をする私たちのことなど、まったく気にしていない様子で、私たちはなす術を失いました。
しかし、どうしたもんかと戸惑ったその瞬間、口いっぱいにトンカツを入れた父が、突然、「うんまかね~」とつぶやきました。








