【宋美玄先生×ママ対談】2歳までにほとんどの子が感染する「RSウイルス感染症」対策って?
気になる症状がある方や病気について知りたい方は、医師にご相談ください。
「 RSウイルス感染症 」は感染力が強いうえに、赤ちゃんがかかると重症化しやすい病気の一つ。わが子に感染させないためには何をすればいいのでしょうか? 実際に子どもが RSウイルス感染症 で入院した経験を持つママが、産婦人科医の宋美玄先生に対策を聞きました。プレママ・プレパパもぜひ知っておきましょう。
目次
プロフィール紹介
対談するのはこの2人
知久 友里恵さん
フォロワー10万人のインスタグラマーであり、モデル、アパレルPRとして活躍中の2児のママ。8歳の長男が11カ月のとき、RSウイルス感染症にかかり入院した経験がある。
宋 美玄先生
産婦人科医、医学博士。子育てと産婦人科医を両立、メディア等への積極的露出で女性のカラダの悩み、妊娠出産などに女性の立場からの積極的な啓蒙活動をおこなっている。
「RSウイルス感染症」とはどんな病気?重症化するとどうなる?
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「 RSウイルス感染症 」という病気は、長男が実際にかかるまでよく知りませんでした。どんな症状があるのでしょうか?
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RSウイルスの感染により引き起こされる呼吸器系の感染症で、咳(せき)、鼻水、発熱などの症状が出ます。潜伏期間は4~5日とされ※1、その後、数日間症状が続きます。
RSウイルス自体は世界中に分布していて、どの年代も繰り返しかかる感染症です※2。ほぼすべての子が2歳までに感染するのですが※3、初めての感染ではウイルスが肺に達しやすく、とくに生後6カ月未満の赤ちゃんは重症化することもある※4ので注意が必要です。
重症化すると、「ぜいぜい」「ひゅうひゅう」といった呼吸が見られ、高熱、気管支炎、肺炎などの下気道炎を引き起こします。また、スウェーデンの報告では、乳児期に RSウイルス感染症 で入院したお子さんは、3歳時点でのぜん息の発症率が、そうでないお子さんと比較して高かったことが報告されています。※5
対象:1989年12月~1990年4月にRSウイルス感染による細気管支炎で入院した乳幼児47例と性別、年齢、居住地域を合わせた対照の乳幼児93例
方法:患者及びその家族に対する3歳時点の追跡調査によって喘息の発症状況を検討した。3回以上の気管支閉塞を医師が確認した場合を喘息と定義した。
参考 1)Sigurs N. et al.:Pediatrics 95(4):500, 1995
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長男は11カ月のときにかかったのですが、最初は38度の熱と咳でいつもの風邪のような感じでした。検査で「 RSウイルス感染症 」と診断され、薬をもらって自宅安静に。 このときは2~3日で良くなるものだと思ったのですが……。
2日目、3日目になっても熱は下がるどころか39~40度まで上がってしまい、本当にしんどそうでした。再び受診したのですが、やはり自宅で様子を見るようにと言われたんです。けれど4日目になっても高熱が続き、3度目の受診。そこで再検査をして肺炎になっていたことがわかり、急きょ入院しました。
高熱が続く理由もよくわからなかったので、もしも息子の命に何かあったら……と考えると心配で眠れませんでした。入院したときは、ちゃんと治るまで診てもらえるからもう大丈夫だと、すごくほっとしましたね。仕事を休んだり、付き添ったりと大変なことはあったんですが、それよりも安堵感のほうが大きかったです。
※ 個人の印象、意見でありすべての方が同様の意見とは限りません。
治療法がない「RSウイルス感染症」から赤ちゃんを守るには?
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「 RSウイルス感染症 」の治療法がないとなると、対策することが大切ですよね。
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重症化のリスクがある赤ちゃん(早産児、先天性心疾患、気管支肺異形成症、免疫不全、ダウン症)については、保険適用で抗体医薬を投与することができます。お薬によって投与する対象の方や回数などが異なりますので、気になる方は医師にご相談ください。
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家庭ではどのような予防ができますか?
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RSウイルス感染症 は感染した家族から赤ちゃんにうつすというパターンも多いので、家族で手洗いうがい、消毒を習慣にする。流行期はマスクを着用し、風邪っぽい症状があるときは赤ちゃんに近づかない、もしも誰かが感染したら、感染者は隔離する、換気をする、きょうだいが感染した時は食具やおもちゃは共有しないといった対策が必要です。コロナのときの感染対策と同じと考えていいでしょう。
ただ保育園に通っている場合はそうもいきませんよね。赤ちゃんにマスクをつけさせることもできないですし……。
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わが家も長男のことがあったから、次男のときは RSウイルス感染症 に気をつけていました。だけど1歳前にかかってしまいましたね。幸い重症化することなく回復したのですが、家庭での対策だけで防ぐのは大変かもしれません。
流行時期が読めないからこそ対策を知ることが大切
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「 RSウイルス感染症 」は秋冬に流行するといわれていたのですが、長男がかかったのは夏でした。
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知久さんのお子さんは新型コロナウイルス感染拡大前のお話ですが、コロナ以降、感染症の流行は読みにくくなっています。インフルエンザも夏に流行して話題になりましたよね。時期だけではなく地域ごとでも変わってくるし、感染症は通年予防しましょう、と話す小児科の先生は多いです。
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だからこそ、 RSウイルス感染症 そのものや対策について知っておくことが大切だと思いました。
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RSウイルス感染症 は、赤ちゃんにとっても家族にとっても避けられるなら避けたい病気。 感染症の特徴を知って、普段から感染対策を心がけていきたいですね。
知久さんのように実際にお子さんが罹患(りかん)したママの言葉は、多くの人に響くと思います。
※1堤裕幸: ウイルス 55(1); 77, 2005
※2 国立感染症研究所: 病原微生物検出情報35(6): 137, 2014
※3 国立感染症研究所:病原微生物検査情報35(6):5,2014
※4 Kobayashi Y et al.: Pediatr Int 64(1): e14957, 2022
※5 Sigurs N. et al.:Pediatrics 95(4):500, 1995
この記事の監修者
医師:宋 美玄
産婦人科医、医学博士、FMF認定超音波医、日本産科婦人科遺伝診療学会認定医
2001年大阪大学医学部医学科卒業。大学卒業後、大阪大学医学部附属病院、りんくう総合医療センターなどを経て川崎医科大学講師就任。2009年ロンドンのFetal Medicine Foundationへ留学。胎児超音波の研鑽を積む。2015年川崎医科大学医学研究科博士課程卒業。2017年丸の内の森レディースクリニックを開業。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会設立代表理事。2024年医療法人社団ベラフォレスタを設立。周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、インターネット、雑誌、書籍で情報発信を行う。産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上を目的とし活動中。
2025年1月作成
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