最新の肌研究「フィラグリン」とは?赤ちゃんの肌を守るために大切なこと

赤ちゃんのお肌はとてもデリケートと聞くけれど、どうやってお肌を守ればいいの?洗い方は?保湿する回数や量は?など、ママたちは初めてのことに疑問がいっぱいだと思います。

そこで今回は赤ちゃんの正しいスキンケアについて、神奈川県立こども医療センターアレルギー科の高増哲也先生に教えて頂きました。最近の研究で「フィラグリン」という肌の成分にも注目が集まっているそうです。

最新の肌研究「フィラグリン」とは?赤ちゃんの肌を守るために大切なこと

赤ちゃんに保湿が大切な理由

生まれる前後の赤ちゃんはダイナミックな変化を経験するのですが、肌については、ママのお腹の中では羊水というお水の中に包まれていたのが、生まれたとたんに乾燥した空気の世界にでてきます。もちろん皮脂と呼ばれる脂の膜に守られているのですが、お肌の状態には個人差があります。

いずれにしても赤ちゃんにとってはお腹の中と外では環境の変化がとても大きいため、保湿をして肌を守ってあげたい時期なのです。

肌とアレルギーに関係があるというのは本当!?

肌の表面にはさまざまな物質がついているものですが、肌が体の中を守ってくれているのです。ところが肌が傷んでいると、さまざまな物質の刺激が体内に影響して、アレルギーを引き起こしてしまいやすいということがわかってきました。

ある研究では、生まれてから数カ月間、毎日保湿をした赤ちゃんと、保湿をしなかった赤ちゃんを比較したところ、毎日保湿をした赤ちゃんの方がアトピー性皮膚炎の発症率が低かったという結果が出ています。これらのことから現在では、肌の状態とアレルギーは深い関係があるという説が有力とされています。

肌トラブルは顔周りから起こることが多い!

産まれた直後の赤ちゃんのお肌はたっぷりな皮脂で覆われていて、肌トラブルは起きにくい時期です。その後、肌は乾燥しやすくなり早ければ生後1カ月ごろ、だいたい生後3カ月頃から肌トラブルが起こりはじめることが多いです。

トラブルが起こる場所は顔から始まり、首周り、手足、体の順に起こることが多く、また髪でおおわれて気がつきにくいですが、頭皮にも起こっていることがあります。

「フィラグリン」が肌のバリア機能を高める?!

前述したように、肌が荒れているとさまざまな物質の刺激がきっかけとなり、アレルギーを起きやすくさせてしまいます。肌には外から内を守る壁としての働きをするバリア機能があるのです。

このバリア機能には、内のものが外に出て行かないようにする働きと、外のものが内に入ってこないようにする働きがあります。内のものが外に出ないように守る働きをする物質として、ケラチンという線維状の成分があります。

フィラグリンは、肌に含まれるたんぱく質のひとつで、角層内でケラチン線維を凝集させたのちに分解され、天然保湿因子となります。

天然保湿因子とは、肌に元来備わっている保湿成分の総称なのですが、その天然保湿因子が減少すると保湿機能が低下し、乾燥が起こりやすくなります。そのため、フィラグリンは肌のバリア機能において重要な役割を果たしているのです。

皮膚の断面図のイラスト

アトピー性皮膚炎の方のフィラグリンは……

アトピー性皮膚炎の方の3~4人に1人は、フィラグリンを自分で作るための遺伝情報に異常があり、フィラグリンをうまく作れない方がいます。アトピー性皮膚炎の方はこの遺伝情報に異常がない人であっても、フィラグリンが作られる量が少ない傾向があるといわれています。

アトピー性皮膚炎の症状発症にはさまざまなことが関わっているといわれており、原因はフィラグリン不足だけではなく、汗の成分の刺激や肌の表面にいるブドウ球菌の成分の刺激なども考えられています。

しかし、フィラグリンがしっかり作られていないと保湿する力が弱まり、肌を守る力が弱くなるだろう、それが症状に関わっているのではないかという研究がさらに進みつつあるところです。フィラグリンに注目したお薬や商品がこれから開発されていくことが期待されます。

赤ちゃんを肌トラブルから守るためのスキンケアの基本とポイント

肌トラブルから赤ちゃんを守るためには、適切なスキンケアが必要です。方法はとてもシンプルで、「1.肌を洗って清潔にする 2.保湿された状態を保つ」ということの2つです。しかしこの2つは矛盾してしまいがちです。

洗って清潔にすれば皮脂も一緒に落ちてしまい、肌が乾いてしまいやすくなります。そこで洗って清潔にしたら、保湿をする、はセットで行います。

スキンケアの基本ステップ

ステップ1 しっかり泡だててしわを伸ばして洗い、よくすすぐ

ステップ2 タオルで拭いたら保湿をする

スキンケア4つのポイント

この基本ステップを行うときに気をつけていただきたいポイントが4つあります。

ポイント① 洗うときはしわを伸ばして!

赤ちゃんの肌トラブルが起こりやすい場所は、耳の後ろ、首まわり、髪の生え際、手足の関節(曲げ伸ばしするところ)。つまり全てしわがあるところです。石けんを十分に泡だてて、しわを伸ばして、手を使ってしわの内側もしっかり洗い、またよく泡をすすぐことが大切です。

ポイント② 保湿はできれば1日1回以上

お風呂上がりの清潔なお肌に、できれば1日1回以上は、保湿を行うことで肌トラブル予防につながります。肌トラブルが起こりやすい赤ちゃんの場合は、複数回保湿したほうがよい場合もあります。

すでにお肌にトラブルが見られる場合は、治療のためにぬり薬を使ったほうがよい場合もあるため、病院を受診して相談しましょう。

ポイント③ 一度に塗る量はテカテカするぐらい

保湿剤はたっぷり塗ります。目安としては塗った後にお肌がテカテカするぐらいに。

ポイント④ 保湿剤は市販のものでもOK

トラブル予防で使う保湿剤は市販の赤ちゃん用のもので十分です。いくつか試してみて、塗ると肌の調子がよいと思うものを見つけましょう。

まとめ

お肌は個人差が大きいので実はあまり心配しなくていい赤ちゃんもいます。でも逆に肌トラブルが起きやすい赤ちゃんもいます。そのため日ごろから、ママたちの負担にならない程度でよいので、赤ちゃんのお肌を観察し、気にかけてあげてほしいなと思います。

ママたちはご自身のメイクを落とした後に洗顔して、保湿をすると思うのですが、それと同じステップをお子さんの全身にしてあげていると考えると良いかもしれませんね。

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高増先生の顔写真

高増哲也

神奈川県立こども医療センター アレルギー科医長

プロフィール

1989年広島大学医学部医学科卒業。東京大学小児科、茅ヶ崎市立病院小児科、横浜市立大学寄生虫学などを経て、99年から現職。日本アレルギー学会 指導医。日本小児臨床アレルギー学会 理事。17年より神奈川県立保健福祉大学 臨床教授。19年より神奈川県立こども医療センターアレルギーセンター 副センター長。