アトピー性皮膚炎の原因はフィラグリン不足?!予防する5つの方法を皮膚科医が解説!

暖かくなってきて、汗をかくようになるとアトピー性皮膚炎の赤ちゃんにとっては、かゆみが増し、辛く感じてしまうものです。なんとか予防する方法はないものでしょうか。

今回は、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎について、症状や原因、季節ごとの発症するおもな要因と、アトピー性皮膚炎の発症を予防する方法などを、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長の馬場先生にお話を伺いました。

アトピー性皮膚炎の原因はフィラグリン不足?!予防する5つの方法を皮膚科医が解説!

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎はかゆみのある湿疹が、よくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
かゆくなると掻いてしまい、さらにバリア機能を弱くしてしまって悪化してしまうこともあります。原因や症状について詳しくみていきましょう。

アトピー性皮膚炎になる原因とは

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる原因は2つあります。1つは、ダニ、ホコリ、食物、動物の毛などの外界のアレルゲンに対してアレルギ―(過剰な防衛反応)を起こしやすい体質があること。もう1つは、人体を外界から守る能力であるバリア機能が弱いことです。

皮膚のバリア機能が弱いと、アレルゲンが皮膚から人体に取り込まれてアレルギー反応を起こします。アレルギー反応が皮膚で起こると、アレルゲンを排除しようとするリンパ球が皮膚にたくさん集まってきます。

そしてさまざまな化学物質をだすため、毛細血管が拡張したり、かゆみの物質がでてきたりします。これがアトピー性皮膚炎という皮膚の炎症です。

アトピー性皮膚炎の症状はどんなもの?

皮膚が赤くなり、あかいブツブツができ、掻くと表面がむけて滲出液(傷口を修復して、皮膚を再生する細胞の成長を助ける成分が含まれた体液)が出てじくじくしたり、出血したりします。この炎症は、こすったり掻いたりしやすい顔、頭、首、関節の内側などに出やすいのですが、ひどくなれば全身に出ます。

薬を塗って炎症を抑えればいったんよくなりますが、塗るのをすぐにやめると、もともとの原因が除かれたわけではないため、また出てきてしまいます。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は遺伝する? いつ頃発症するの?乳児湿疹との違いは?

冬に赤ちゃんを抱っこするお母さん

アトピー性皮膚炎になりやすい体質はある程度は遺伝できまっていますが、環境によっても変わってきます。皮膚の表面にアレルゲンとなる物質がついたままになっていると、バリア機能が弱っている皮膚から中に入り込みやすく、その結果アレルギー反応を起こします。

また、アトピー性皮膚炎になりやすい体質のことをアトピー素因と言います。これは両親や親族の中に、アトピー性皮膚炎だけでなく、喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、花粉症、じんましんなどのアレルギ―疾患の方がいる場合、アトピー素因ありと判断します。

そのため、両親のどちらかが必ずしもアトピー性皮膚炎でなくても赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を起こすこともありえます。

赤ちゃんが発症する月齢について

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は通常は3~4カ月以降に発症します。ただ、生後1カ月前後は多くの赤ちゃんに乳児脂漏性皮膚炎(にゅうじしろうせいひふえん)などの乳児湿疹も出てききます。

乳児脂漏性皮膚炎は、生後3~4週間ごろできはじめて、3カ月~4カ月頃までの間に自然治癒することが多い、顔や頭などにできやすい軽度の湿疹です。

成長期の一過性の皮膚の病気であって、乳児期を過ぎれば治るものなのですが、乳児脂漏性皮膚炎が治らないまま、いつの間にかアトピー性皮膚炎になってしまっていたというケースもあります。

そのため、アトピー性皮膚炎がいつから始まったかは明確でない場合もあります。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の違いは?どう見分けるの?

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は、ある一時点の症状だけでは見分けがつきにくい場合がありますが、経過を見ながら2カ月以上続くようならアトピー性皮膚炎と考えられます。

また、症状が顔などの一部にとどまらず、胸や腹、背中、腕や脚など広く全身の皮膚に赤みやブツブツ、ザラザラが見られたり、首、肘や膝の裏側、足首など関節部にほぼ左右対称に皮膚炎症状がみられるとアトピー性皮膚炎に違いないといえるでしょう。

アトピー性皮膚炎は1年中、季節を問わず起こる可能性がある!

冬に赤ちゃんを抱っこするお母さん

赤ちゃんによって悪化する原因が違うため、一概に春夏秋冬のどのシーズンにアトピー性皮膚炎が起こりやすいということはいえません。

ただ、一般的には空気が乾燥して皮膚も乾燥しやすい秋、冬に悪化しやすい赤ちゃんが最も多いです。その場合はまず皮膚がかさつく乾燥状態から始まり、そこに赤いブツブツや厚みのある紅斑ができ、そのままにしておくとどんどん範囲が広がっていき痒みも増します。

夏に赤ちゃんを抱っこするお母さん

一方、夏は湿度が高く、汗もかき皮膚表面が潤っているため、乾燥によるバリア機能低下が起こりにくくなります。そのため、アトピー性皮膚炎になっても軽快するケースが多いです。

ただ、汗をかいたままにしておくと、かゆみを生じるため掻いて悪化したり、また細菌が増えたりして悪化することも。掻き壊してとびひを合併することもありますし、滲出液が出てくるような状態になることもあります。

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんにはフィラグリンが不足している可能性がある?

皮膚のバリア機能が弱い体質は、皮膚の最も外側の表皮の機能によって決まります。人の表皮は数層の表皮細胞が石垣のように重なってできています。

その最も外側は、表皮細胞が核を失って平坦な板のようになり、それが皮膚の表面に角層を形成してバリアとなり、厳重に人体を覆って守っています。なかでもフィラグリンは角層の構造を強固にして、かつ水分を保つ働きをしているタンパク質で、バリア機能の主役ともいえます。

アトピー性皮膚炎の人の表皮では、このフィラグリンが少なくなっているために皮膚が乾燥しやすくなり、バリア機能が弱くなっていることがわかっています。そのため赤ちゃんのアトピー性皮膚炎も、フィラグリンが不足している可能性が考えられます。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を予防する5つの方法

皮フの断面図

皮膚の表面にアレルゲンとなりうる物質がついたままにしないこと、少々ついていても中に入ってこないようにバリア機能を補強することによって、アトピー性皮膚炎になる確率を下げることができます。

そこで家庭でできる5つの予防方法をお伝えします。ぜひ赤ちゃんのアトピー予防に役立ててくださいね。

家庭でできる5つの予防方法

保湿してもらう赤ちゃん
  1. 肌を清潔に保ち、お風呂などで洗ったあとは保湿してバリア機能を補強する。
  2. 授乳や食事のあとは汚れをこすらず濡れタオルでぬぐいとり、保湿剤をたっぷり塗る。
  3. 汗をかいたらなるべく早く濡れタオルでそっと押し拭きするか、シャワーで流す。
  4. 肌に直接触れる衣類は、吸湿性と通気性がよい木綿の肌着を選ぶ。また、夏でも肌着はノースリーブではなく袖のあるものにして、皮膚を刺激から守る。寝具類も同様の理由で木綿にする。
  5. こまめに換気や掃除をして、家の中のホコリやダニを少なくする。(毛のある動物は家の中では飼わない方が無難)

スキンケアのコツと保湿剤を選ぶポイント

肌を清潔に保つことが予防には大切ですが、清潔にしたいあまり、洗いすぎるとかえってバリア機能を破壊してしまいますので、洗浄剤を使うのは1日1回にとどめましょう。

また、洗うときはガーゼやタオルなどでこすらずに、泡を手に取って優しくなでるように洗い、ぬるいお湯のシャワーで洗い流すようにしてください。そして洗った後は、しっかり保湿してバリア機能を補いましょう。

また、さまざまな保湿成分が配合された保湿剤が市販されていますが、まずは香料やパラベンなどが無添加のもの、赤ちゃん用のものを選びましょう。そしてかぶれにくいことを検証してある、アレルギーテスト済み、パッチテスト済みなどの表示があるものが理想的です。

最後に

アトピー性皮膚炎になるかならないかは遺伝的な体質と生活環境の2つの要因があります。たとえアトピー素因があっても、しっかりと環境を整えてあげて、こすったり掻いたりしないように気を付けながら皮膚の表面をきれいにして、しっかり保湿するスキンケアを毎日の習慣にすれば、アトピー性皮膚炎の予防につながります。

でも、いったんなってしまったら躊躇(ちゅうちょ)せずに皮膚科で処方してもらった炎症を抑える薬をしっかり塗ってあげることが大切です。

まずは元の状態に戻し、それからスキンケアで再発を予防するようにしましょう。さまざまな情報があふれていますが、あまりいろいろと迷ったり焦ったりせずに、日々のスキンケアを地道に続けて気長につきあってくださいね。

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馬場直子の顔写真

馬場直子

神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、横浜市立大学皮膚科臨床教授

プロフィール

1983年滋賀医科大学医学部卒業、1994年横浜市立大学皮膚科講師を経て、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、2015年より横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼務。日本皮膚科学会専門医。専門分野は小児アトピー性皮膚炎、母斑、血管腫、皮膚感染症など小児皮膚科学全般。