洛和会音羽病院 総合女性医学健康センター(京都府京都市)所長インタビュー
スタッフの明るさとチームワークが自慢
佐川 典正先生に洛和会音羽病院 産婦人科の特徴やこれまでの取り組みについて伺いました。
佐川先生「2011年(平成23)に、当時、洛和会音羽病院の院長だった松村理司現・洛和会ヘルスケアシステム総長に声をかけていただき、京都で一番質の高い医療・サービスが提供できる産婦人科を目指し、着任しました。
私はこれまでスタッフの教育に力を入れてきました。なぜなら私にはスタッフへの教育を徹底することが患者さんに満足していただける医療やサービスを提供する根幹だという揺るぎない思いがあったからです。
具体的には週2回、分娩症例の振り返りを行い、医師、助産師、看護師など、分娩に関わるスタッフ全てが同じ目線で徹底して議論し合う場を作りました。そして、問題が起きたらすぐに経緯の確認と共有をスタッフ全員で行うようにしました。また、産婦人科内だけではなく栄養管理室、経営管理部門、広報など院内全体を巻き込んだ『産婦人科機能向上プロジェクト』を立ち上げて、『多職種連携』も積極的に行っています。
その結果、担当スタッフは分娩に集中でき、担当以外のスタッフもフォローできる集団になっていきました。やはり助産師をはじめとするスタッフと医師はイコールパートナーで、対等に意見を交わせる環境づくりが大事だと考えています。ベテランも新人も経験は違えど、目指すところは同じなんです。
スタッフ教育以外では、『妊婦さんファースト』で考えることを徹底しています。着任当初は、『洛和会音羽病院ではお産に対応しているのですか?』と尋ねられるくらいでしたから、どうしたら洛和会音羽病院が選ばれるか?ということを常に考え、認知度の向上を目指しました。
患者さんの立場では、『いいお産をする』ことが最も大切ですが、それ以外のことにも満足していただき、患者さんのお友達にも伝わっていくことを考えていきました。着任当時は、年間の分娩数が200人程度でしたが、今では年間の分娩数も増えて、医療やサービスの質も患者さんから期待されるようになったと実感しています」
女医が対応できる、フレンドリーな環境づくり
洛和会音羽病院産婦人科医、矢野 阿壽加先生にもお話を伺いました。
矢野先生「洛和会音羽病院の産婦人科は、患者さんとスタッフ、そしてスタッフ間のコミュニケーションがとても良好だと思います。そのため、夜中や休日に緊急帝王切開が必要になった場合でも、すぐにさまざまな情報を共有することができ、迅速な対応が可能です。どんなに忙しくても、患者さんのためとなるとスタッフ誰一人として嫌な顔をせずに、すぐに助けに来てくれる雰囲気です。
それは、所長の佐川が『医師が〜』『助産師が〜』というような区別をすることなく、症例の検討をしたり意見を言い合える雰囲気づくりを徹底しているのが大きいと思います。
また、患者さんから産婦人科のご意見を伺う機会もあるのですが、『丁寧に診察してもらえて良かった』という声が多いですね。スタッフ全員が、常に患者さんに満足していただけるよう心掛けているため、そのようなご意見は大変うれしく思います。
洛和会音羽病院の産婦人科には女医が複数人います。産婦人科を受診する患者さんの中には、男性医師には話しにくいという方もいらっしゃるので、できるだけ毎日最低1人の女医が外来の診察を担当するようにしています。今後も女性ならではのニーズを発見し、解決していけるように仕事をしていきたいと思います」
底抜けに明るいスタッフと「全員がお母さん思い」という同じ目線
助産師のお二人にもお話を伺ってきました。
長本助産師「私たち助産師は、お産のときに赤ちゃんが生まれてくる力、お母さんの産む力を最大限に引き出せるよう常に心掛けています。そのため、妊娠中からの信頼関係が重要だと思っています。
先日あったお産のときの話なのですが、二人目のお産をしたお母さんに『今回のお産はとても満足のいくお産でした!お産の最中に助産師さんの励ます声が聞こえてきました!とても心強かったし、そうやって励まされて産んだ子なので、これから頑張って育てていきますよ!』と言っていただけたことがうれしかったです」
長本助産師「洛和会音羽病院では、最初にバースプランとして、お母さんがどのようなお産をしたいのかを十分お伺いさせていただいています。そして母親学級に参加いただき、お産のときの呼吸方法、産む体勢などをイメージしていただきます。
たとえば、フリースタイル分娩もできますし、LDR(陣痛室・分娩室・回復室が一体となった個室)に10人ぐらい入っての立ち会い出産をしたこともあります。お産のときには、赤ちゃんとお母さんだけが頑張るのではなく、お父さんも声がけできるようにアドバイスさせていただいており、家族全体でお産ができるように配慮しています。
先日はスマホのテレビ電話で海外にいらっしゃる旦那さんと『痛いよー、痛いよー!』『今!産まれるよー!』と英語で会話をしながらのお産もあり、印象的でした」
林助産師「先輩助産師への相談も気軽にしていますし、医師も私たちの話を真剣に聞いてくれるので、医師、助産師、看護師、スタッフ全員の風通しがいいですね。その結果、お母さんのサポートとベビーちゃん(院内では赤ちゃんをこう呼んでいるそうです)の対応に集中できています」
長本助産師と林助産師のお二人からはお産における助産師の役割をご紹介いただきました。産婦人科病棟の風通しの良さや、お二人がやりがいをもってお仕事をされている様子が伝わってきました。また、インタビュー中、ずっと笑顔でいらしたのも印象的でした。
入院中のお食事は、お母さん向けのオリジナルです!
洛和会音羽病院全体では、一日400人分程度の食事を提供していますが、産婦人科では他の科の患者さんと別の特別なメニューを提供しているとのこと。お話を伺ったのは、栄養管理室の佐々木由美主席課長です。
佐々木管理栄養士「産婦人科で提供するお食事は、入院中にお食事を楽しんでいただくために、若い女性に満足いただける、彩り良いメニュー構成にしています。また、季節の材料や行事食も工夫しています。
食材については、野菜は基本的に冷凍野菜ではなく、生の野菜を使用。卵はヨード卵、鶏肉は『京赤地どり』、牛肉は京都のブランド牛である『京の肉』を使用し、おいしいだけでなく、『安心』の食事を心掛けています。ご飯は食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富な十五穀米も選べます」
「以前は病院からのお祝いとして、尾頭付きの鯛の塩焼きと赤飯をお七夜食として提供していました。しかし最近は入院日数も短くなり、その時期には既に退院されていることが多くなったため、現在はお祝いの気持ちを込めて、出産後ご家族にも産婦さんと同じ食事を無料でご用意する『ファミリー食』を実施しています。また退院時には京都にある有名店の洋菓子詰め合わせを記念にお渡しし、ご家族でお楽しみいただいています」
たくさんの方へ食事を提供する際に事故がないように一番気を配りながらも、「常に患者さんにご満足いただけるようにお食事の内容を改善していく」と、佐々木さんは力強くおっしゃいました。
患者さんの希望をかなえることが洛和会音羽病院のモットーです
佐川先生「納得いかないことは、遠慮なく相談していただきたいです。いろいろな機会でスタッフからの説明を聞いて、ご自分の出産イメージをもっていただき、分からないことがあったらスタッフに質問してください。患者さんの希望をかなえていくことが洛和会音羽病院のモットーです。お気軽にご相談いただけたらと思います。
そして今後は、無痛分娩や小児科のとの連携強化なども含め、日々新しいことにチャレンジし続け、女性全体をサポートしていきたいと考えています」
今回の取材でいろいろなスタッフの方にお話をお伺いしたのですが、どなたもお話ししやすく、誰もが”お母さんが希望するお産をサポートしていく“ということをおっしゃっていたことがとても印象的でした。
また、佐川所長の「油断したらダメなんです。常にレベルアップできる集団でいつづける努力をしていかねば」という言葉にも大変感銘を受けました。ぜひ、洛和会音羽病院の産婦人科(総合女性医学健康センター)でのお産を検討してみてはいかがでしょうか。