池川クリニック (神奈川県横浜市) 院長インタビュー
良いお産・良い子育てのテーマに“胎内記憶”がある
車通りが多い県道23号線沿いに建つ池川クリニックは、1989年の開業以来、年間約100件ほどのお産を扱っています。院長の池川先生は帝京大学医学部大学院卒業後、上尾中央病総合病院にて部長を務めていた経歴を持つなど、ベテランの医師です。
良い育児とはどんな育児だとお考えですか?
「良い育児の仕方は、みんなそれぞれ異なりますが、妊婦さんが“胎内記憶”を知り、赤ちゃんがお腹の中にいる時から自意識があると理解していれば、幸せなお産ができるとともに育児への意識も変わると思っています。」
“胎内記憶”とは何ですか?
「“胎内記憶”とは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいた時の記憶のこと。生まれてくる子どもの約3割が胎内記憶を持ってこの世に生まれてくるんです。」
良いお産とはどんなお産だとお考えですか?
「子どもが30歳になった時に“自立”と“自律”ができていれば、それは“良いお産”だったといえます。良いお産をしてもらうためにも、胎児としっかりコミュニケーションをとってほしいですね。“自立”とは、精神的・経済的に親から独立すること。また、“自律”とは、自分らしく生きるということです。」
「古来より伝わる『三つ子の魂百まで』という格言がありますが、あれは生まれてから3歳ではなく“お腹の中にいる1年”を含め3年なので、実際は2歳になりますね。数え年と同じカウントですよ。」
赤ちゃんがお腹の中にいる1年間はとても重要で、その後の人格形成のところにまで影響を及ぼす可能性もあるので、しっかり胎児とコミュニケーションをとることが大事だと池川院長はお話ししてくださいました。
お腹の中の赤ちゃんとのコミュニケーションは大切
お腹の中の赤ちゃんとどうやったら会話できますか?
「もし胎児となかなか会話ができない時は、人形を使って、会話をする練習をしてもらいます。」
手でキューピー人形を包み込み、問いかけを続けていると、自然とお腹の中の赤ちゃんと話すコツがつかめるそうです。
赤ちゃんの中には超音波検査を嫌がる子もいるそうで、胎児に確認してから診察に臨んでほしいと話す池川院長。赤ちゃんが“胎内記録”を持っていることが改めてわかる仰天エピソードを教えてくれました。
「胎児の時の記憶を話すお姉ちゃん」
池川クリニックで第一子(お姉ちゃん)を出産した患者さんが、第二子出産を控えて診察に来ていた時のことです。お母さんから性別を聞かれ、先生が超音波で性別を確認しようとしたところ、手で隠れて性別がわからなかったそうです。その時に、お姉ちゃんが驚くべきことを言いました。
「これ(超音波検査)、見られると恥ずかしいんだよね。でも、お母さんがよろこんでくれたからいいの!」
本人は無邪気に話していましたが、お母さんはびっくり!スピリチュアルな部分はありながらも、胎児とコミュニケーションがとれると改めてわかったエピソードでした。胎児と対話することは、赤ちゃんの性格形成や母親の育児への意識の部分にも関係してくると池川院長は教えてくださいました。
ストレスフリーな妊婦環境がマタニティブルーズの予防に
結婚したての男性からすでに育児を終えた男性まで、幅広い世代を対象に「奥さんに何を望みますか?」と質問したところ、みんな口をそろえて「奥さんには笑顔になってほしい」と答えたそうです。
ただ、男性が奥さんに対してよろこんでほしいと思ってしたことでも、女性にとってはありがた迷惑なケースもあるといいます。
「男女で考え方や価値観の部分は少し異なる。女性は妊娠中、いろいろなことに気が立ってイライラしてしまうことも。奥さんから文句を言われることもあるかもしれないが、奥さんのことを理解して文句は聞き流してあげてほしい。」
ママの笑顔は家族が幸せな証
お母さんが笑顔であればその周りの家族もみんな幸せになると池川院長は言います。夫婦の不仲がマタニティブルーズを引き起こす要因になってしまうこともあるとのことで、池川クリニックでは無料で産後ケアをおこなっています。
産後から1カ月健診までの間、赤ちゃんの体重測定とおっぱいマッサージを無料で実施し、マタニティブルーズになる患者さんも減ってきたといいます。池川クリニックでは、お母さんと赤ちゃんがにこやかに生きていくにはどうしたら良いかを常に考え、指導をされているそうです。
スタッフ全員で協力して患者さんをケア!
池川クリニックはどんな雰囲気ですか?
「とってもアットホームなクリニックです。些細なことでもすぐに質問をしてもらえるような雰囲気作りを心掛けています。会話の中でも患者さんの言葉じりを逃すことのないように意識をしています。」
患者さんにお伝えしたいことはありますか?
「産後から1カ月検診の間、無料で産後ケアをおこなっている産院は少ないと思います。24時間体制で産後ケアをしているのでぜひ活用してほしいです!」
患者さんの小さな悩みごとでも逃さずキャッチし、スタッフ全員で協力して解決していこうという姿勢を強く感じました。
妊娠期から赤ちゃんといっぱい会話をしてほしい
妊婦さんへの指導で気を付けていることはありますか?
「池川クリニックでは、とにかくお母さんにストレスがかからないように自由なお産にこだわっています。それぞれの妊婦さんが不安なく安心して赤ちゃんを産めるよう、型にはまったような指導はしないように心掛けています。」
ただ、“お腹の中の赤ちゃんには意思がある”ということだけは気付いてほしいと池川先生はいいます。
「お母さんの気持ちにこたえられるような社会になってほしいですし、お母さんの不安やストレスを少しでも減らせるような指導ができるように、今後も指導していきたいです。」
妊婦さんは遠方から来院される方も多いのですか?
「遠方からも通いたいという問い合わせもありますが、やはり近場でないと、いざという時に対応できないので、あまりに遠方からの来院はおすすめしていません。」
赤ちゃんとのより良いコミュニケーションをとることができれば、どこの産婦人科でお産をするかはあまり関係ありません、と赤ちゃんとママを思いやったコメントもいただきました。
「どこで産むかというよりも、ママと赤ちゃんのコミュニケーションを、胎児の時からしっかりおこなってほしいし、赤ちゃんは必ずそれを覚えています。良い出産と良い育児ができるように、赤ちゃんといっぱい会話をしてくださいね。」
池川院長が提唱している「胎内記憶」を通じて、多くの女性が良いお産・良い育児を経験しています。 今回のインタビューで、一途にママと赤ちゃんの幸せを願う池川院長とクリニックの思いが伝わってきました。