出産前から何でも持ってくる義母
義母は物持ちが良く、かつ「捨てる」というのがもったいないと思う性格です。夫と結婚したときにも新居に大量の鍋やお皿を「使って~」と言って持ってきました。新品や未使用の物なら良いのですが、壊れたミキサーやジューサー、焦げて使えないフライパンや欠けた茶碗なども……。すきやき鍋はなぜか3セットも持ってこられて収納に困りました。
さすがに壊れている物は捨てましたが、手間もかかって大変でした。今思えば、そのときにはっきり断ればよかったのですが「悪気はないんだし」「せっかく持ってきてくれたから」と思い、すべて受け取ってしまいました。
色あせたぬいぐるみに虫が付いた絵本
その後、長男を無事出産し、実家での里帰りを終えて家に戻りました。そして、義母が「やっと出番がきたわ」と大量の荷物を持って家にきたのです。開けて見ると茶色く変色しているぬいぐるみとボロボロの30冊以上の絵本の数々……。
聞くと夫が子どものときに使っていた物を大事にとっておいたとのこと。物持ちの良さに驚きながらも、絵本を開くと保存状態が悪かったのか、劣化のためかページがボロボロ落ちて、小さい虫の姿も……。
我慢して受け取ったけど
夫は「懐かしいなぁ」とご機嫌。義母が帰ったあとにページが取れることや虫がいることを訴えても、「直せばよい」「古い本だから虫が付くのは仕方ない」とのこと。除菌タオルで1ページずつ拭き取り、本もテープで何冊か補修しましたが、量が多く出産直後の身には大変でした。一番困ったのが、子どもにたくさん絵本を読んであげようと買った子ども用の本棚がほぼ古い本で埋まったことです。
とはいえ、義母が持ってきたのは今も読まれている有名な絵本が多く、私も「こんな絵本があったんだ」と興味深く読むこともできました。なかには初版や筆者のサイン入りの絵本もあり、これ以上ボロボロになるのがもったいないと思うように……。
思い切って返品
子どもが1歳になり自分でページをめくるようになったのを機に、義母に思い切って「古い本ですし子どもが読むと壊れてしまいそうで……」と言って、義実家に引き取ってもらいました。
義実家で、大人の目が多いときにまた読ませてくださいと付け加えも。義母もそういう理由ならと快く引き取ってくれました。ぬいぐるみは洗濯後、しばらくは押し入れにしまっていましたが子どもが3歳になったら遊ぶように。
義母が孫のためにと取って置いてくれた貴重な絵本です。今も義実家に行くと子どもと一緒に丁寧に扱って読んでいます。義母とも絵本の話をすることで少し距離が近くなった気も。しかし、何度か引っ越しをおこなっているにもかかわらず、30年前の絵本とぬいぐるみをずっと取っておいた義母にも衝撃を受けた出来事でした。
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作画/まきこんぶ
著者:井上萌々子
自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。