うちの娘におねだりするママ
私は、夫が仕事で不在の土曜日に、3歳の娘と広くて遊具も豊富な地域の子育てセンターをよく利用しています。そこで娘と絵本を読んだり、おままごとをしたりしながら、よく顔を合わせる親子とあいさつや会話を交わして楽しんでいました。
あるとき、娘さんを連れたママAさんが「その服かわいいですね~」とニコニコして話しかけてきます。私と同世代のAさんは娘が同い年ということもあり、次第に仲良くなりました。
その後も何度か子育てセンターで会うようになり、そのたびに子育ての話で盛り上がっていたのですが、ある日突然「もう使わなくなった服をもらえない?」と言われたのです。「Aさんの娘さんのほうが背が高くて、うちの娘の服はもう着られないはずなのになぜだろう」とモヤモヤしながらも断れず、譲りました。
ある朝、娘が着ていたお気に入りの服がきつくなってきて、「もう今日でこの服はバイバイだね」と話してからセンターに向かったときのことです。私に気づいたAさんは、私を見つけるなり「おはよう。って、娘ちゃんのこの服すっごくかわいいね! 着られなくなったらちょうだいよ! というかもうパツパツだね」と言います。
私はモヤモヤしながらも「そうなの。実はこの服もうきつくて、今日で最後にするの。でも、Aさんの娘さんのほうが背も高いし、着るのは厳しいんじゃない?」と伝えました。しかし、Aさんは「え~、まだ着られるって!」と粘ります。
そのとき、私はふと気づきました。ここ3カ月くらいで10着ほど譲った服を、Aさんの娘さんが着ているところを1度も見たことがありません……。Aさんは、うちの娘の服をぐいっと軽く引っ張るような形でつかみ「ね、娘ちゃん。これうちの子にあげていいよね? ちょうだい!」と必死に訴えます。娘はあきらかに嫌な顔……。
この行動に私はドン引きし、「ちょっと……」と声をかけた瞬間です。近くで電車のおもちゃで静かに遊んでいた5歳くらいの男の子が顔を上げて、「ねぇ、嫌がってるのにとったら、どろぼうだよ?」と大きな声でひと言。
よく通る声だったので、周りのママたちも振り向きます。Aさんは子どもに「どろぼう」と言われたうえ、大人からも注目を浴びたため言い返せず、恥ずかしそうにしてそそくさと帰宅していったのでした。
それから、Aさんの姿を見ることはめっきり減りました。どこか後ろめたい気持ちがあったのか、私と顔を合わせてもあいさつをしたあとは離れて遊んでいます。センターを利用する他のママに聞いたのですが、他にもしつこく服をねだられたママが数人おり、譲った服がフリマアプリで売られていたそうです……。
今回は、思いがけない男の子のひと言のおかげで子育てセンターに安心して通えるようになりました。他のママと仲良くなれる環境はありがたいですが、付き合う人の基準をしっかりもっておかなければ、トラブルに発展すると身をもって感じた出来事です。
著者:大橋ちひろ/30代・ライター。食べることが大好きな娘と夫の3人暮らし。アニメ鑑賞が趣味。
イラスト:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています