笑顔の義母がふいに見せた本音
私たち夫婦の実家は、お互いに県外にあります。そのため、気軽に親を頼ることができず、子どもが生まれてからは保育園に預けて共働きをする道を選びました。
夫の実家の近くへ戻る案も出ましたが、将来を見据えて夫婦で話し合い、今住んでいる宮城県にとどまることを決めたのです。この決断は、双方の両親にも説明し、理解してもらっていたはずでした。
ある日、夫が仕事で不在のタイミングで義母がわが家へ遊びに来ました。たわいない会話を楽しんでいた最中、義母は急に真顔になり、こう切り出したのです。
「お互いの実家が遠いと大変だよね」
「やっぱり◯◯(夫)も私の息子だし、本当は青森の嫁をもらって、近くに住んでくれたらよかったのに」
当時、私は慣れない育児と再就職に向けた活動が重なり、心身ともに余裕がない状態でした。義母の言葉を聞いた瞬間、子どもを抱く腕が固まり、胸の奥がすーっと冷えていくのを感じました。
私の動揺を察したのか、突然泣き出した子ども。私はその場に居続けることがつらくなり、「少し散歩に行ってきます」とだけ告げ、泣く子を抱いて外へ飛び出しました。冷たい空気の中、私は必死に涙を飲んだのでした。
10年経っても消えない心の刺に…
家族で何度も話し合い、納得して選んだはずの道が、たった一言で軽く扱われたように感じてなりませんでした。いつもにこやかな義母がふいに見せた冷たい本心に、私は激しいショックを受けました。家族として築いてきたものが一気に壊れた気がして、人の本音が持つ容赦のなさに、ただ震えることしかできませんでした。
家に戻ると、私の様子を察して申し訳なく思ったのか、義母は「年寄りの言うことだから気にしないでね」と笑顔で言いました。
あれから10年が経ち、現在も義母とは表面上は穏やかな関係を保っています。それでも、産後という最も心身が弱っていた時期に向けられたあの一言は、今も胸に深く刺さったままです。
何度も話し合いを重ねて決めた選択であっても、“嫁”という立場ひとつで、これほど簡単に揺らいでしまう現実があるのだと痛感しました。何気ない一言が、相手の尊厳やそれまでの努力を深く傷つけてしまうこともあります。家族という近い関係だからこそ、言葉はより丁寧に選ぶべきなのだと、改めて強く感じた出来事でした。
著者:御法川 元子/30代女性。2015年生まれの女の子の母。子どもが生後4カ月のころから企業の広報担当として働いているワーキングマザー。パニック障害を患いながらも明るい性格で元気に毎日過ごしている。波瀾万丈な人生だが、明るく楽しくをモットーに! 趣味は音楽鑑賞・カラオケ。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
※AI生成画像を使用しています