子どものしたいようにさせた夫
私が美容院などで数時間外出する際、夫に7歳の息子と4歳の娘と一緒に留守番を頼むことがありました。帰宅すると、いつも決まって部屋には開け広げられた大量のスナック菓子の袋。子どもたちは大はしゃぎでしたが、聞くと、お菓子だけでなくアイスを1人3個も食べたと話す日や、朝から5時間以上ゲームをしていたと話す日もありました。
日ごろから、家計や栄養バランス、虫歯のリスクなどを考えながら子どもに食べ物を与えていた私は、「お菓子ばっかりあげないで。虫歯が心配だし、ごはんが食べられなくなっちゃうから」と夫に注意しますが、夫は「たまの休みくらい子どもと楽しくさせろよ」と聞きません。夫は子どもたちの要望をすべてお菓子や外食で解決してしまい、子どもたちのわがままはエスカレート。お菓子で満腹になってごはんを残したり、機嫌が悪いとすぐにお菓子やジュースを要望したりするようになっていました。7歳の息子は「ママはすぐダメって言う」とふてくされ、「パパは僕たちの味方だもんね」と夫側につきます。私は家の中で「厳しい悪役」になっていました。
しかし、そんな夫の「いいとこ取り育児」の限界はすぐに訪れました。ある休日、私が法事で半日家を空けたとき、夫はいつも通り子どもたちをファミレスへ連れて行き、好きなだけデザートを食べさせたそうです。さらに息子にゲームの制限時間も守らせず、お菓子を買ってと言う娘には、好きなお菓子を全部買ってあげていました。
夕方に私が帰宅すると、家の中は散乱して荒れ果てた状態。ゲームのしすぎで、7歳の息子は頭痛を訴えてぐったりしています。好きなお菓子を食べ終わった4歳の娘は、「もっとお菓子が欲しい」と、激しいかんしゃくを起こし、泣き叫んでいました。
息子は「パパがいくら遊んでもいいって言ったじゃん! 頭が痛いのはパパのせいだ!」と泣きながら責めていましたが、「少し寝れば治るよ」と、自分はスマホを見たまま適当な返事ばかり。泣き叫ぶ娘には「ったく、お菓子全部食ったんだからもうないよ!」と逆ギレする始末でした。
さすがの私もその状況には呆れ、夫を叱責しようと思った瞬間、頭痛で丸まっていた息子が、夫に向かって「パパは味方だと思ってたのに! 『ゲームし放題』って言うだけで僕が苦しくても何もしてくれない! 自分がラクしたいだけなんじゃん!」と悲痛の訴え。息子は、夫の「やさしさ」が、実は自分たちに関心を持っていないだけの「放任」であることを見抜いたのです。
私はすぐに息子を別の部屋で休ませ、水分を摂らせて頭を冷やす処置をしました。泣き叫ぶ娘に対しては、これ以上お菓子はあげられないことを告げ、一度シャワーを浴びさせることで気分を切り替えさせます。その後、消化のいい食事を与えたことで、子どもたちはようやく落ち着きを取り戻したのでした。
夜になって子どもたちが寝静まったあと、夫はひどく落ち込んでいました。息子からの「ラクをしたいだけ」という言葉が、私からのどんな説教よりも堪えたようでした。私が夫に再度「ただ甘やかすのがやさしさじゃない。叱らず済むし、自分はラクになるかもしれないけど、子どもたちの健康やこれからに関わってくることなの。子どもたちにきちんと向き合って、子どもたちのことを考えて行動するのが親としての責任じゃない?」と話すと、これまで耳を傾けてくれなかった夫も、さすがに「そうだな……ごめん」と肩を落とし、謝罪してくれました。
翌朝、夫は子どもたちを呼び、前日の件について話しました。「パパ昨日、自分のことしか考えてなかった。二人に痛い思いや悲しい思いをさせてごめん。これからは、ママが決めているルールをパパもしっかり守ることにする」と宣言。それからは、お菓子や外食で子どものご機嫌取りをすることは、めっきりなくなりました。子どもたちは当初、夫に泣きついて要求を通そうとしましたが、夫が「ママと同じルールだよ」と一貫した態度を取り続けたことで、次第に親によって態度を変えることもなくなっていったのでした。
その場しのぎの甘やかしは、結局子どものためにならず、親もあとで苦労することになると夫婦で身をもって実感した今回。子どものことを考え、ルールを守らせる責任を夫婦で共有することの大切さを学んだ出来事でした。
著者:井島りほ/30代・ライター。小学1年生の息子と、年少の娘を育てるママ。おしゃべりが大好きで寝るのが苦手な兄妹と、にぎやかな毎日を過ごしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)