結婚記念日にママ友からの「愛してる」
人と話すのが苦手な私に、同じクラスに娘さんを通わせるAさんが、幼稚園でいつも明るくあいさつしてくれました。その後、参観でAさんが話しかけてくれたのをきっかけに少しずつ仲良くなり、私は初めてのママ友を大切にしたいという一心で、必死にAさんの話についていっていました。
ところがLINEを交換し、たわいもない内容で連絡を取るようになったころから、Aさんの行動はだんだん理解しがたいものになっていったのです。「今から隣町に夕食を食べに一緒に行こう」と日曜の夕方17時に突然電話が来たり、「暇だから電話しよう!」と夜中の長電話に付き合わされたり……。ママ友の少ない私は、「ここで断ったらもう誘われないかも」とひるんでしまい、最初は何度かAさんの要望に応えていました。
そうするうちに、彼女はよく、「〇〇さん(私)おとなしいから、見てて心配なんだよね」「私がいればもう一人じゃないから安心でしょ?」といった、上から目線な言葉を口にするようになりました。当時は「私のことを思ってくれているんだ」と無理やり納得させていましたが、今思えば、私を「自分なしではいられない存在」に仕立て上げようとする、支配の第一歩だったのだと思います。
あるとき、夜中に「会いたくなったから迎えに来て!」と電話で言われ、子どもがいるママ同士、と言うにはあまりにも度を超えていると感じた私は、「今日は遅いし、また今度」と断りました。するとAさんから「え、冷た。私のこと嫌いになったんでしょ。もういい!」と音割れするほどの大声をあげられ、電話を切られてしまったのです。
しかしその翌日、Aさんは幼稚園で何もなかったかのようにあいさつを交わしてきました。私は「もしかしたら、何かイライラしていただけかも」と自分に言い聞かせましたが、Aさんの気に障らないよう気をつかい続けることに、私は少し疲れ始めていました。
事件が起きたのは、息子が幼稚園に入って半年ごろ。幼稚園のお迎えに行くと、Aさんが駐車場で待ち伏せしていました。近寄ってきたかと思うと、「今日、夜空けておいてね」と当然のように言ってきます。しかしその日は私たち夫婦の結婚記念日。息子を義実家に預けて夫とディナーに行く予定でした。私がそれを伝えると、Aさんの様子が豹変し、「今日は私の誕生日だよ? そんなディナー、キャンセルしてよ。私のほうがあなたを愛してるのに!」と大声で叫ぶのです。私は「怖い!」と思いながらも「夫婦の記念日だから無理だよ」と冷静に伝えると、Aさんは私を睨みつけ、「信じらんない。最低。もうあんたとは終わり。今日で別れてあげる!」と言い残し、走り去っていきました。ママ友という関係で「愛してる」や「別れる」という言葉が出ることに、私は恐怖で立ち尽くすしかありません。
その後、新たに話すようになった他のママ友の話では、Aさんは私のことを自分の所有物かのようにペラペラと話し、「あの子、私がいないとダメなの」と吹聴していたそう。それを聞いた私は、彼女は私を「自分が守ってあげているかわいそうな存在」として精神的に依存させ、自分なしでは生きていけない状態に置きたかったのかもしれないと思いました。あの日、彼女が口にした「別れてあげる」という言葉は、私を自分の思い通りにコントロールできなくなった絶望と、「先に振ったのは私の方だ」という彼女なりの歪んだプライドの守り方だったのだと、今なら想像がつきます。
結局、あの騒動が他の保護者の目にも触れたせいか、あるいは私の支配に失敗して居心地が悪くなったのか、Aさんはその後まもなく娘さんと共に別の園へと転園していきました。それ以降も会うことがなくなり少しホッとしています。
第一印象がどんなによくても、深く関わってみるととんでもない顔が隠れていることもあると、身をもって実感した今回。あれ以上深く関わっていたら、夫や子どもたちを巻き込む事態になっていたかもしれないと思うと、ゾッとします。自分や家族を守るためにも違和感に蓋をせず、適度な距離感を保つことが、人とうまく関わるコツなのだと学んだ出来事でした。
著者:横田りな/30代・主婦。7歳の息子と4歳の娘を育てるママ。夢のマイホームのため節約を始めたところ、意外にも楽しくて、最近では自分で節約レシピを考えるのがマイブーム。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)