わざとじゃないのに…
ちょっとした傷や凹みでも厳しい言葉で咎める夫。子どもがおもちゃを落としたら「どうするの! お前が落としたせいで床が凹んだじゃん!」と怒り、ジュースをこぼすと「またジュース床にこぼして! ちょっとママ、なんでそんなところで飲ませるの?」と娘や私を大声で非難します。しかし、2歳の娘はまだ幼いため、気をつけていてもおもちゃを落として傷つけてしまうのです。
ある日、娘がおもちゃの片づけをしているときに、うっかりおもちゃ箱を床に落としてしまって凹みができてしまったのですが、そのときも夫は「もう! また床が凹んだ! 何度もおもちゃを落とすんだったら、もうおもちゃで遊ぶのやめなさい!」と激昂。私は「ちょっと、わざと落としたわけじゃないのにそんなに怒らなくてもいいでしょ」と夫に言いましたが、夫は「はぁ……。この床なんとかして直らないかな」とスマホで床の傷を直す方法を調べるばかりで、こちらの言い分には一切耳を傾けません。
そんなある日、家族で夫の実家に遊びに行ったときのことです。義母は「今日はつみ木で遊んでみよう!」と娘を遊びに誘います。すると「え、つみ木で遊んでいいの?」と顔が輝く娘。想像以上に娘が喜ぶ姿に義母が少し戸惑っていると、「今日はつみ木で遊んでも怒られない?」と娘が言い、場の空気が固まります。義母が「つみ木で遊んだらどうして怒られるの?」と尋ねると「つみ木を落として床がけがしたら、パパが怒るの」と話す娘。さらに「前ママとお友だちのおうちに遊びに行ったときは、おもちゃを落としても怒られなくてうれしかった!」と話したのです。
その言葉を聞いた義母は「どういうこと? こんなに小さい子に気を使わせているの?」と夫に問いかけます。夫は「だって、お金をかけた家を何も考えずにすぐ傷つけるから」と返答。そのとき、娘が床にシールのようなものを貼ろうとしていました。「ほらまた! こうなんだよ!」と夫が怒りながら娘に近づき手をつかむと、持っていたのはシールではなく絆創膏でした。娘が「ごめんなさい。床がけがしてたから……」というのでよく見ると、床には凹みが。
すると義母は「床より大事なものがあるでしょ。ここ、覚えてないの?」とその床の大きな凹みを指さします。「あなたが小さいころに絵本を投げつけてできた傷よ」と言われ、夫は「え、そんなことあったっけ」と驚いた様子。「あったわよ。親にとっては、傷一つひとつも思い出。それに、この子だって子どもなりにちゃんと考えているのよ。やさしい気持ちを無下にするつもり?」という義母の言葉に夫は気まずそうな様子です。そして娘に向き合い「……今まで怖がらせてごめんね。パパ大事なものが見えていなかったよ」と謝罪するのでした。
その後、娘は自宅でも夫と一緒におもちゃで遊ぶように。床にはいくつか傷が増えましたが、夫が傷を見て怒ることはなくなりました。
本来、家は家族が安心して暮らすための場所。傷つくのを嫌がるあまりに子どもの笑顔を奪ってしまっては本末転倒です。「傷がついてしまった」と落ち込むのではなく、「傷がつくほど一緒に遊んだな」と子どもの成長や思い出を楽しみたいと思った出来事でした。
著者:安藤沙奈/20代・ライター。2歳の娘を育てるママ。娘が生後7カ月のときに復職。夫は残業で帰宅時間が遅く、平日はほぼワンオペ。子どもを寝かしつけたあとに、自分へのご褒美で食べるスイーツが大好き。
作画:ryo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)