入園式の娘に心ない見下し発言を連発!
4歳の娘が、昨年幼稚園に入園したばかりのころの話です。入園式当日、繊細な性格の娘は、慣れない雰囲気に緊張して私の手を強く握りながら涙目になっていました。すると隣に座っていた同じクラスになったママAさんが、娘をちらっと見て小声で、「もう泣きそうなんですか? これじゃあ、先が思いやられますね」と声をかけてきたのです。娘は声を上げて泣いていたわけではなく、ただ静かに目に涙をためていただけです。それなのに初対面のママにそんな心ない言葉を投げかけられ、一瞬状況を理解できず、私は固まってしまいました。
式が終わったあとも、Aさんの攻撃はさらに加速してきます。「うちの子どもは全然平気なのよ」と傍らでニコニコしている息子くんを見ながら、「娘さんをそんなに甘やかしていると、これからの集団生活で周りに迷惑をかけてしまいますよ」と、周囲に聞こえるような声で言い放ったのです。明らかに上から目線で、こちらを見下したような冷たい口調。私は「そうですかね……」と返したものの、せっかくの娘の門出を汚されたような気持ちになり、怒りと悲しさでいっぱいになりました。
ところが、慣らし保育が始まり数日経つと、娘は一変! 園生活にもあっという間に慣れ、入園式で涙を見せていたのが嘘のように、楽しそうに笑顔で登園するようになりました。その一方で、あの日あんなに余裕たっぷりだったAさんの息子くんは、お母さんと離れるのが寂しくて、毎朝激しく泣いて登園。先生に抱えられながら一生懸命にママを呼ぶ彼の姿と、入園式の堂々とした姿のギャップを、私は少し微笑ましく思っていました。
ある朝、登園時に顔を合わせたAさんは、目の下にクマを作り、イライラを隠せない様子で私に「いいわよね、お宅の娘さんはあんなに淡白で。うちの子はママへの愛情が深すぎて、繊細で困っちゃう。お宅みたいに手がかからないと、親はラクで羨ましいわ」と、食ってかかってきました。娘の適応力を「愛情不足」と決めつける彼女を見て、蘇ったのは入園式に言われた言葉。「泣く子は先が思いやられる」と言い放ったくせに、自分の子が泣けば「愛情の証」……。あまりの矛盾に、呆れを通り越して心がすっと冷えていくのを感じました。
そこで私は淡々と落ち着いたトーンで、「それなら、入園式のときの娘もきっと同じだったんですね。あの日、私の手を握って泣きそうになっていた娘も、彼女なりに私のことが大好きで、離れるのが寂しかったんだなって。今のAさんのお話を聞いて、あのときの娘の気持ちを肯定してもらえた気がして、少し安心しました」と少し皮肉交じりに答えました。Aさんは自分が放った過去の暴言と、今の身勝手な言い訳がぶつかり合ったことに気づいたのか、ハッとした表情で絶句。
私が「最初に涙が出ちゃうのも、あとから寂しくなっちゃうのも、表現の仕方は違うけど、二人とも自分なりのペースで新しい世界を一生懸命受け入れようとしているからじゃないですかね。だから、きっと息子くんも大丈夫ですよ」と続けると、Aさんは、それ以上何も言い返せなかったようで、黙って園をあとにしました。
あの日を境に、Aさんが私に棘のある言葉を向けてくることはありません。息子くんの登園しぶりもしばらく続きましたが、彼女はもう周囲を攻撃して気を紛らわせるのではなく、必死にわが子と向き合っているようでした。時折、疲れ切った顔で息子くんをなだめる彼女と目が合うと、私は小さく会釈を送るようになり、お互いに「自分の子のペース」を尊重する、程よい距離感のクラスメイトの親という関係に落ち着いています。
新生活が始まると、つい周囲とわが子を比べて焦ってしまうこともあるかもしれません。しかし、その瞬間の様子だけで「親のしつけ」や「愛情」を判断するのは間違っていると私は思います。わが子のペースを信じて見守る大切さを痛感した出来事でした。
著者:長嶺りょう/30代・主婦。4歳の女の子を育てるママ。寝る瞬間までおしゃべりを続ける娘の横で白目を剥きながら、大好きな推しのことを考えて現実逃避中。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)