ラン活トラブル、奇跡の結末
年長の娘と幼稚園の同級生で、娘の親友・AちゃんとAちゃんママとは家族ぐるみの付き合い。家も徒歩で行けるほど近い距離で、「小学校も一緒だね」なんて笑い合っていました。
そして来年度の入学に向けてラン活を始めたある日、Aちゃんママが「うちはもうランドセル予約しちゃった。少しお値段は張るけれど、質のいい工房だから教えてあげるわね」と、あるお店を紹介してくれました。Aちゃんママは、以前から自分たちの持ち物や生活の質にこだわりが強く、そんな自分たちが選んだお店を教えることで、少し誇らしげな様子。
私はお礼を伝え、後日さっそく娘を連れてその店へ向かいました。たくさんのランドセルが並ぶ中、娘は悩みながらもきれいな水色のランドセルをチョイス。数日後、お迎えの時間にAちゃんママに遭遇したので、お礼とランドセルの報告をしました。
「教えてもらったお店、すごくよくて! 悩んだ末これに決まったよ」と、スマホの画面を見せた瞬間、Aちゃんママの顔が一気に険しく歪みました。「は? うちのと同じじゃん。マネしたの?」「え? マネしたわけじゃないよ。Aちゃんの知らないし……」「絶対マネした。今すぐキャンセルしてよ、最低!」と、怒声で周囲が振り返ります。
それ以来、園では無視され、共通のママ友に、娘が予約したランドセルと同じ写真を見せながら「これはうちのマネ。あの人は平気で人のマネをするのよ」と吹聴される地獄が始まりました。あろうことか「洋服もいつもマネしてくる。靴も勝手にお揃いにされて嫌だった」とありもしないことまで言われてしまい、私は悲しみと怒りでおかしくなりそうでした。
ストレスが限界になり、夫にこれまでのことを相談したところ、娘を説得して水色のランドセルはキャンセルしようという話になりました。もちろん娘は涙目で「変えたくない……」と話しましたが、「Aちゃんが悲しい気持ちになるならやめる」と納得。私は胸が押しつぶされそうな気持ちでした。
そして後日、Aちゃんママ宅へ夫に同行してもらい、Aちゃんママが怖くて話せない私に代わって夫から「Aちゃんママ、ランドセルの件ですがうちはキャンセルします。なので、これ以上変な噂を流すのはやめていただけませんか?」と伝えてもらったのです。
すると、そばにいたAちゃんが夫のスマホに映っている写真を覗き込みました。そして「え? 私のランドセルと〇〇ちゃんの、似てるけど、違うやつだよ? ほら、私のはお花がついているけど、〇〇ちゃんのはリボンだもん」と発言したのです。
夫が「……どういうことですか?」と問い詰めると、Aちゃんママは顔を真っ青にして黙り込みました。Aちゃんママを問い詰めると「本当は、私もそのリボンのモデルが欲しかったのよ。でも、それは最高級ラインで予算オーバーだったから、よく似た安いほうのデザインで妥協するしかなかった。それを、あなたが後から行って、何食わぬ顔で買ったって言ってきたのが許せなかったの!」と悔しそうな顔で言いました。Aちゃんママは、自分の見栄のために私を攻撃していたことを自ら暴露し、その場で観念したように謝罪。その後、娘とAちゃんは「お揃いみたいでうれしい!」とランドセルを背負って笑い合い、ランドセルをキャンセルする必要もなくなりました。
その後、Aちゃんママとの関係は一変しました。彼女は周囲に流した噂を訂正して回ったようですが、私の中にある不信感は消えず、以前のような親密な付き合いはやめました。今では園で顔を合わせればあいさつをする程度の、ごく表面的な近所付き合いに。Aちゃんと娘は今も仲良しですが、親同士が深入りすることはないと思います。
もしAちゃんママの理不尽な怒りに屈してキャンセルしていたら、私は娘がランドセルを背負うたびに、申し訳なさと苦い思い出を抱え続けていたはずです。自分ではっきり伝える勇気がなかった私に代わって、きちんと話をしてくれた夫には、とても感謝しています。周囲の目を気にして自分たちを曲げるのではなく、娘が心から喜ぶ選択を守り抜く強さを持ちたいと、改めて強く感じた出来事でした。
著者:西村あかり/30代・パート。6歳の長女と5歳の長男の年子きょうだいをもつ母。メリハリボディに憧れるが、5年経った今でも産後ダイエット継続中。
作画:sawako
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)