「できない」を盾に、最初から戦力外宣言?
娘が年長のとき、私は保護者会の役員に選ばれました。選出方法は、抽選という公平なルール。選ばれたメンバーは皆、「決まったからには1年間、協力して頑張ろう」と、仕事や育児の合間を縫って集まりました。
役員の仕事には、園だよりや行事の資料作成など、パソコン作業が欠かせません。パソコンを持っていない人には園からの貸し出しもあり、不慣れな人には皆で教え合うのが毎年の通例でした。
ところが、同じ係のAさんだけは違いました。彼女は最初の挨拶で、こう言い切ったのです。
「私、パソコンはできないので無理です! 壊しちゃっても困るし、作業は全部皆さんにお任せしますね」
周囲は一瞬絶句しましたが、しばらくは「慣れるまで大変だよね」とフォローに回っていました。しかし、彼女は顔を合わせるたびに「できないです」と繰り返し、覚えようとする姿勢すら見せませんでした。
最後までモヤモヤ…でも思わぬ報酬に気づき
数カ月が経っても、Aさんの担当分はいつも誰かが肩代わりする状態が続いていました。話し合いの場を設けても、彼女の態度は一向に変わりません。
「だから言ったじゃないですか、『できない』って。できない人間に無理にやらせて、ミスが起きたらどうするんですか? 私は責任取れませんよ?」
「できない」を盾に、最初から協力する意思がない。そんな彼女をこれ以上説得するのは時間の無駄だと判断した私たちは、彼女を「形だけの参加」と割り切り、残りのメンバーで結束して1年を乗り切ることにしました。
結局、次年度への引き継ぎですら、彼女は「私は何もしていないので、詳細はわからないんです」と、すべてを丸投げ。一度役員になれば、下の子のときの役員は免除されるという園のルールを最大限に利用して、彼女は任期を終えたのです。
正直、釈然としない思いは残りました。でも、任期を終えてふと周りを見渡すと、彼女をカバーし合ってきた他のメンバーとは、愚痴を言い合い、助け合うなかで、驚くほど強い絆が生まれていたのです。
「ある意味、彼女のおかげでここまで仲良くなれたよね!」と笑い合えたとき、1年間のモヤモヤはどこかへ消えていきました。損をしたように見えても、誠実に向き合ったあとに残った「信頼できる友だち」こそが、私にとっての本当の報酬だったのだと感じています。
取材・文/丸井のどか
著者:夏川あかり/40代女性。2016年生まれの娘、2019年生まれの息子、夫の4人暮らし。元イベントプランナー。人が集まる賑やかな場とお酒、キャンプが大好き。家事も育児も「楽しければOK」がモットー。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
※AI生成画像を使用しています