記念日ディナーのはずなのに?
彼との記念日ディナーの日。彼が予約してくれたレストランへ向かいながら、私はドキドキしていました。交際5年の記念日ですし、「もしかしたらプロポーズをされるかもしれない」と思っていたのです。
店の近くまで来たところで、彼に「もうすぐ着くよ」とメッセージを送りました。すると、彼からすぐに返事が。
「あれ? ディナーは明日だろ?」と。
一瞬、意味がわかりませんでした。彼と約束した日は、たしかに今日です。記念日だったので間違えるはずがありません。しかし、彼は「明日」だと言ったのです。私が「今日って言ってなかった?」と返すと、今度は明らかに焦った文面が続きました。
「ごめん、予約見返したら、間違えて明日で予約してた」
「レストランの雰囲気とかは明日の楽しみにしてほしいから、今日は帰ってくれないかな?」
彼のメッセージを読んだ瞬間、なぜか胸がざわつきました。確証はないのに、このまま帰ったら後悔しそうで――。私は一旦、「わかった、帰るね。また明日」とだけ返し、レストランの向かいにあったカフェに入りました。窓際の席に座り、外が見える位置でしばらく様子を見ることにしたのです。
しばらくして、驚くことに彼が店から出てきました。隣には見知らぬ女性が。2人はそのまま店の前で別れ、それぞれ別方向へ歩き出しました。
頭の中が真っ白になりながらも、私は急いで女性のあとを追いかけ、意を決して声をかけました。
彼への逆襲を計画
女性は当然驚いていましたが、私は落ち着いて事情を説明し、先ほどのカフェで少し話をさせてもらうことに。
彼との関係を尋ねると、女性は戸惑った表情のまま言いました。「3年前から付き合っています。今日、あのレストランでプロポーズされました」と。そして、「あなたの存在は知らなかった」と続けたのです。
私も正直に話しました。「私は5年付き合っています。明日、同じレストランで記念日ディナーの予定でした」。
その瞬間、女性は明らかに顔色を変えました。演技には見えませんでした。きっと彼女も本当に何も知らなかったのでしょう。だから私も、彼女を責める気持ちにはなれませんでした。
私たちは彼との出会いから交際に至った経緯、普段の連絡の様子など、お互いが知っている事実をひとつずつ整理していきました。話せば話すほど、彼が二重生活を続けていたことがはっきりしていって……。私も彼女も、残酷な現実に言葉を失いました。
それでも、このまま泣き寝入りするのは違う。そう思い、私たちは、ある「計画」を立てることにしたのです。
レストランで待つ彼の前に…
翌日、彼から「先に店に入ってる」と連絡が届きました。私は「少し遅れそう! ごめんね!」とだけ返し……前日に話した彼女と合流。そう、私たちが立てた計画とは、2人で彼の前に現れる、ということでした。
そして、私と彼女は2人でレストランに入り……席に座っていた彼の元へ。
こちらに気づいた瞬間、彼の表情が固まったのがわかりました。
「え、なんで?」「どういうことだ?」
明らかに焦ったような表情を浮かべた彼。私たちは席に着かず、彼の前に立ったまま、短く用件だけ伝えました。
「もう終わりにしましょう」
そう言うと、彼女も続けました。
「昨日プロポーズをされたけれど、お断りします」
彼は「誤解だ」「説明する」と、とにかくその場をしのごうとする言葉を重ねました。
「もう大丈夫。私も彼女も何が起きていたのか、全部わかっているから」
そう言うと、彼はうなだれるようにうつむき、何も言わなくなってしまいました。これ以上は何を言っても無駄だと思った私たちは、「関係は今日で終わりにしましょう」とだけ告げて背を向けました。
本来なら特別なはずの記念日ディナーは、私にとって「区切りをつける日」になったのです。
彼はどちらも選ぶつもりはなかったのだろう
あとから冷静に考えると、彼は最初から「どちらかを選ぶ」つもりではなく、両方を手放さないために結婚をにおわせていたのだと思います。交際5年の私には「そろそろ結婚」と期待させ、彼女にはプロポーズで繋ぎ止める。そうすれば、どちらも簡単には離れない。自分が安心したいだけのやり方だったのでは……と、私は感じました。
実際、別れを告げたあと、彼からは言い訳めいた連絡が届きましたが、読む気になれず、彼の連絡先をブロックしました。あの場で終わらせたことに後悔はありません。
そして意外だったのは、あの女性と、今も連絡を取り合っていることです。同じ嘘に巻き込まれた者同士、“戦友”みたいな感覚で意気投合。定期的に近況を報告し合う仲になりました。恋人は失いましたが、代わりに信頼できる友人ができた。今はそう思って、前を向いています。
イラスト:内海涼流
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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