本部の高橋さんを前に、媚びへつらう店長。そして、ほや助さんたちには宮田さんが「勝手に病んだ」と発言して「俺のせいとか言うな」と脅します。ですが、高橋さんは宮田さんの休職の真相を探るために来ている様子。ほや助さんに、「誰が言ったか漏らさない」と約束してくれました。
ほや助さんは、高橋さんにメモを差し出して……。
録音はできなくても…!















田中さんと話す前から、高橋さんが店長を疑っていたかはわかりません。
少なくとも今は、店長についての情報を集めたがっているのは明らかでした。
「宮田さんが店長ともめていたって聞いてね」
「もめていたっていうか、その……。私、店長に店を辞めるって伝えたらいろいろ言われているんです」
……宮田さんも、ここに書いているようなひどいことを店長によく言われていました。
私が高橋さんに差し出したのは、店で使っているオーダー用の伝票用紙。
そこに書かれているのは、店長のありとあらゆる暴言。
私は、田中さんに頼まれなんとか店長の暴言メモを取っていたのです。
これは、キャバ嬢さんの件と同時進行で決行していた作戦でした。
ここまでやる必要があるのかは、正直わからなかったけれど……。
店長が宮田さんにもこんな言葉をかけていたって伝わるかも……。
そんな思いで書いたメモを前にして、高橋さんは、突然黙り込んでしまいました。
田中さんと相談したとはいえ、やりすぎたかな……。信憑性も薄いだろうし……。
そんなことを思っていると、高橋さんがようやく口を開きます。
「……これは。店長がほや助さんに言ったことを、そのまま、ここに書いているんですか?」
「あっ、そうです……」
「言われたらすぐにメモしていました」
暴言メモを見た上司の反応は
ドラマの世界だったら証拠集めもスムーズにできるんだろうけど、私にできることはこれが精一杯でした。店長に怪しまれて、メモを見せろと迫られたことだってありました。
「これだけじゃ、証拠にはならないかも知れないですけど……」
「いえ、十分です」
「えっ、十分って……?」
高橋さんによると、他のスタッフからも似たような報告があったというのです。
「あ、田中さんですよね」
「あー、田中さんもそうですね」
……「も」?
「『店長はこれまで宮田さんをいじめていて、今も同じ目にあっている人もいるんです……と話していた人がいたんです、数人……』
田中さんを店長のサンドバッグにして、宮田さんのことも助けようとしなかった先輩たち。
ですが、彼らもまた、この異常な状況を変えようと勇気を出していたのです。
「ひとりじゃなかった」。高橋さんの口から語られた同僚たちの変化を知り、私の心に灯った小さな灯火は、店長という暗闇を打ち消すほどの大きな希望へと変わっていきました。
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ついに店長にバレる恐怖と闘いながら書き留めた「暴言メモ」が、高橋さんに渡りました。高橋さんが絶句したのは、メモの内容はもちろん、1人のスタッフにここまでさせた店長の異常性を、メモの枚数から痛感したからではないでしょうか。
かつては店長の暴挙を見て見ぬふりをしていた先輩たちも、実は密かに声を上げ始めていた。その事実は、勇気を出したほや助さんたちにとって、何よりも心強い救いとなったはずです。「自分はひとりではない」と気付いたとき、本当の意味で反撃の準備は整いました。ゆがんだ職場が、ようやく正しい方向へ動き出そうとしていることを予感させる、魂の一歩となりました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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