浴衣姿を見た彼の反応
やさしくて面白い一方で、やきもち焼きで短気なところもあった彼。時々けんかをすることはありましたが、私は彼のことが好きで、基本的には良好な関係を築けていると思っていました。
その夏、地域の花火大会に、浴衣を着て出かけることに。待ち合わせ場所で彼は浴衣姿を褒めてくれましたが、なぜか少しイライラしている様子でした。
理由を聞くと、「みんなが君を見てる。浴衣姿がかわいすぎる」と言うのです。周囲の人が私を見ているようには感じませんでしたが、そのときの私は「それくらい似合っていると思ってくれているのかな」と、前向きに受け止めていました。
戻ると彼の周りだけ空白が
花火会場では、運よく場所取りに成功。彼の機嫌も少しずつ直ってきたように見えました。花火が始まる前にトイレへ行くことにした私は、彼に場所を任せ、ひとりで向かいました。
会場は混雑していて、戻るまでに少し時間がかかりました。ようやく戻ると、なぜか彼の周辺だけ不自然にスペースが空いていたのです。近づくにつれ、周囲の人たちが彼に謝っているのがわかりました。そして、私の顔を見るなり、彼は興奮した様子でこう言ったのです。
「この人たちが君の前に座ったんだよ。これじゃ花火が見えないだろ!」
どうやら、私が席を外している間に近くへ来たグループのひとりが、私たちの前に椅子を置いて座ったことに腹を立てたようでした。とはいえ、そこは椅子の使用が禁止されている場所ではなく、花火も十分に見える位置でした。
「君のため」と言われても
私は恥ずかしさと申し訳なさで、周囲の人に「すみません」と謝りました。すると、今度は彼の怒りの矛先が私に向いてしまって……。
「君のために言ったのに、どうして俺が悪者みたいになるんだよ!」
彼はそう言って、さらに不機嫌になってしまったのです。その後も険悪な空気は変わらず、楽しみにしていた花火大会は、まったく楽しめないまま終わりました。
この日以降も、彼は「私のため」という理由で、周囲の人に強く出ることが増えていきました。彼なりに私を大切に思ってくれていたのかもしれません。ただ、周りに迷惑をかけてまで守られたいとは思えず、私の気持ちは少しずつ冷めていきました。
恋人が自分のことを大切に思ってくれているのは、うれしいものです。しかし、その行動が周囲への迷惑につながってしまうと、相手を守るどころか、かえって困らせてしまうこともあるのだと感じました。
この出来事をきっかけに、本当に相手を思いやる行動とは何か、改めて考えるようになりました。
著者:佐藤さくら/30代女性・男の子2人を育てるママ。恋に悩み、喜び、涙した数々の経験をしてきたからこそ書けるリアルな恋愛エピソードを執筆している。
イラスト:はせがわじゅん
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
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