

勝手に決まっていた転職
当時の私は妊娠中で、水のにおいですら気持ち悪くなるほど、つわりに苦しんでいました。ソファとトイレを行き来するだけで1日が終わるような生活を送っていたのです。
そんなある日、夫が突然「転職しようと思う。もう内定ももらっている」と言いました。
理由を聞くと、今の会社で数カ月後に転勤が決まっていたため、転勤のない会社に勤めたいという思いが強くなったとのこと。そもそも私は、転勤の話すら聞いていませんでした。
さらに夫は、「どちらにしても数カ月以内に引っ越しは避けられない」と、どこか前向きな様子で話したのです。私にとっては、転職も転勤も引っ越しも、その場で初めて知らされたことばかりでした。
怒りと悲しみがこみ上げて
怒りが沸いた私は思わず、「え、私、妊娠中でつわりもあるのに、引っ越し作業しなきゃいけないの?」と問いただしました。
すると夫は、「隠していたのは、つわりでつらい時期に余計な心配をさせたくなかったからだよ。もちろん引っ越しは俺が全部やるから!」と宣言。
正直、そのときは「それくらい当たり前では……」と思いました。私がこんなに苦しい時期に、夫がひとりで大事なことを決めていたことがショックで、頭の中に「離婚」という言葉までよぎったほどです。
とはいえ、怒る体力すら残っていませんでした。私は「転職すると決めたならすればいいよ。でも、何も相談してくれなかったのは悲しかった」とだけ伝えました。
すると夫はようやく事の重大さに気づいたようで、「ごめんね」と謝ってくれました。
引っ越し当日
そして引っ越し当日。私は本当に座っているだけでした。
マグカップ1つ段ボールに詰めることもなく、当日は車に乗って新居へ移動。新居でも、業者の方々が荷物を運び入れる様子を、座って見ているだけでした。
引っ越し当日までに、夫はひとりで荷物をすべて段ボールに詰め、生活の邪魔にならない場所にまとめ、業者とのやりとりも済ませていました。さらに新居では、家具や家電の配置までほとんど夫がこなしてくれたのです。
私がしたことといえば、荷物を段ボールに詰める作業の途中、夫から「このクッションいる?」と聞かれて、「うん」と答えたくらいでした。
結果的に、夫は転職先で年収が上がり、新しい職場でもうまくやれているようです。転職の話を突然聞かされたときは怒りや悲しさでいっぱいでしたが、今振り返ると、結果としてはよかったのかもしれません。
一方で、たとえ私の体調を気づかってのことだったとしても、夫婦にとって大事なことを相談なしに決められるのは、やはりつらいものだと感じました。夫が反省する姿勢を見せてくれたこと、そしてつわり中の私を気づかい、引っ越し作業をすべて引き受けてくれたことで、私の中の怒りは少しずつ落ち着いていきました。
ただし、次に何か大事なことを隠したら、そのときは座っているだけでは済まないよ、と夫にはしっかり念押ししています。
著者:伊東理恵子/30代女性・2018年生まれ、2025年生まれの姉妹と夫との4人暮らし。育休や仕事復帰を経て、10年以上商社の営業事務に従事。子育てジャンルの記事をはじめ、美容にも関心が高く、美容記事も執筆中。
作画:ちゃこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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