観光中に出会った“謎のおじさん”
私は金融関係への就職を希望しており、就活では全国を飛び回っていました。せっかく遠方まで行くのだからと、その土地を観光したり、友人に会ったりするのが、当時のちょっとした楽しみでもありました。
その日も、地方での面接を終えたあと、友人と会うまでの空き時間を利用して、有名なお城を観光することに。スーツケースを引きながら歩いていると、突然、ひとりの中年男性に声をかけられました。
「観光ですか? よかったら案内しましょうか」
今思えば、知らない人についていくなんて警戒すべきだったのかもしれません。ですが、その男性は穏やかな雰囲気で、不思議と怖さを感じなかったのです。
私は男性に案内されるまま、お城の周辺を歩き回りました。
すると男性は、城の周囲に点在する小さな祠を指さしながら、「ここは順番通りに回るんです」「お賽銭はこの硬貨がいいですよ」と、細かく教えてくれました。
軽い気持ちで口にした願いごと
最後の祠の前で、男性は「ここは、強く願ったことが叶うんですよ」と言いました。
その言葉を聞いた瞬間、私の頭に浮かんだのは、当時片思いしていたAくんのことでした。だから私は、深く考えずにお願いしてしまったのです。
「神様、お願いします。Aくんと付き合えますように。……そのためなら、何が犠牲になっても構いません」
お願いを終えると、男性はなぜか満足そうに笑い、「きっと叶いますよ」とだけ言って去っていきました。
そのときの私は、本当に“代償”のような出来事が起きるなんて、想像もしていませんでした。
大きな代償と引き換えに…
数日後、私は部活中に大けがをしました。練習中の事故で救急搬送され、そのまま緊急手術。ずっと目標にしていた引退試合への出場は不可能になってしまいました。
さらに、就職活動もうまくいかず、第一志望だった企業からは不採用通知。
「どうしてこんなことばかり続くの……」
ベッドの上で落ち込む私のもとへ、何度もお見舞いに来てくれたのがAくんでした。
励ましてくれるうちに自然と距離が縮まり、やがて私たちは交際をスタート。その後、結婚し、今では夫婦になっています。
――そう、おじさんの言っていたとおり、願いは叶ったのです。この出来事のことは、夫にも話していません。今さら話したところで笑われるだけかもしれませんが、私の中では、どこか“触れてはいけない思い出”のようになっているのです。
もちろん、すべて偶然なのだと思います。ですがあの日以来、お願いごとをするときの言葉は、慎重に選ばなければいけない――そんなふうに感じるようになった不思議な体験でした。
著者:都うめこ/30代女性・2017年生まれの男の子、2019年生まれの女の子を育てるママ。転勤族の夫に帯同しながら、ライターとして公園レポートや子育てのエピソードを執筆している。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)
※AI生成画像を使用しています
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