彼の姉から突然の質問
食卓を囲み、当たり障りのない会話が続いていたとき、彼の姉が口を開きました。
「ねえ、ちゃんとこれからのこと考えてるの?」
何気なく投げかけられたような言葉でしたが、彼女の視線には逃げ場のない重さがありました。彼は「まあ、なんとかなるでしょ」と笑って流そうとしましたが、姉はすぐに「なんとかなるって何? 具体的にいくら貯金があるの?」と畳みかけます。
姉の言葉で、場の空気は一気に冷え込みました。
祝福ムードを変えた姉のひと言
すると彼の姉は、さらに言葉を続けたのです。
「言っておくけど、こっちは一切金銭的な支援はしないよ。結婚するなら、全部自分たちでやってね」
はっきりとした言い方に、彼は「そんな言い方しなくてもいいだろ」と少し苛立った様子を見せます。それでも姉は一歩も引きませんでした。
そして、「甘い考えのまま結婚するほうが無責任でしょ」と言われた瞬間、祝福の空気はすっかり消えてしまいました。初めて会った私の前で、ここまで踏み込んだ話になるとは思っておらず……。私が彼の家族に言い返すのも違う気がして、私はその場で、ただ見守ることしかできませんでした。
ずっと沈黙していた義母の反応は
一方、ここまで彼の母は静かに話を聞いているだけでした。ただ、姉弟ゲンカが始まりかけたとき、「自分たちのことだからね」と、ぽつりとひと言。
否定も肯定もしない、どこか距離を置いたような態度に、私は見えない壁を感じました。結婚あいさつという大切な場だからこそ、もう少し温かい言葉をかけてもらえたら……と思ってしまったのです。
やがて、作り笑いを続けるのも限界に近づいたころ、ようやくその場はお開きになりました。彼の家族と別れたあと、私はどっと疲れが押し寄せ、しばらくため息しか出ませんでした。
この数カ月後、私たちは無事に結婚しました。今でも親族で顔を合わせると少し緊張しますが、行事のたびに顔を出しているうちに、義母や彼の姉の態度にも少しずつ変化が。最近では、以前よりやわらかく接してくれるようになった気がします。
あの日は戸惑うことも多かったですが、今振り返ると、彼の家族は私たちの結婚を真剣に考え、心配してくれていたのかもしれません。少しずつ歩み寄りながら、これからも無理のない距離感で関係を築いていけたらと思っています。
著者:榊原愛七/30代女性・1児の母。看護師・カウンセラー兼、恋愛エピソードを執筆するライター。
イラスト:はせがわじゅん
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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