結婚式でステーキを食べ続ける夫に私の本音を伝えると
子どもがまだ小さかったころ、高校時代の先輩の結婚式に、夫と子どもと一緒に参列しました。
会場はとても素敵で、久しぶりに会えた先輩たちとの会話も弾みました。子どもを初めて会わせることもでき、機嫌よく過ごしている様子に、私もほっとしていました。
披露宴が始まり、料理が次々と運ばれてきました。子どもと一緒の外食では、ゆっくり食べられないことも多かったため、温かい料理を落ち着いて味わえることがうれしく感じられました。
そして、楽しみにしていたメインディッシュのステーキが運ばれてきました。少し厚みのあるお肉で、「おいしそう。早く食べたいな」と思いながら、先に添えられた野菜を食べ進めていました。
いよいよステーキを食べようとした、そのときです。子どもがぐずり始めました。
私はすぐに抱き上げ、周囲に迷惑をかけないよう、小さな声であやしました。けれど、子どもはなかなか落ち着きません。あやしている間はぐずぐずは止まるけれど、あやすのをやめた途端、またぐずぐずしてしまいます。そのため私は始終抱っこであやすことに。楽しみにしていたメインディッシュのステーキは目の前にあるのに、一口も食べられないまま時間だけが過ぎていきました。
ふと隣を見ると、夫は私が子どもを抱いている間も、自分のステーキを食べ進めています。夫の皿を見ると、ステーキはすでに半分ほどなくなっていました。私も少しは温かいうちに食べたいと思い、「ごめん、少しだけ代わってくれる?」と頼みました。
すると夫は、食事の手を止めないまま「今食べてるから、ちょっと待って」と返したのです。
私だって、今まさに食べたかったのに。子どもがぐずったら、私が対応し続けるのが当たり前なのだろうか。そう思うと、悲しい気持ちと腹立たしさがこみ上げてきました。
本当はその場で「私も食べたいんだけど」と言い返したかったです。でも、ここは先輩の大切な結婚式。周囲に聞こえるような言い合いをして、雰囲気を悪くしたくありませんでした。私は気持ちを抑えながら、子どもをあやし続けました。
ようやく子どもが落ち着いたころには、楽しみにしていたステーキはすっかり冷めていました。隣を見ると、夫はすでに自分の食事を終えていました。せっかくのお祝いの席なのに、私は悲しさとモヤモヤで料理を味わう気持ちになれませんでした。
子どもをあやしながら、隣で食事を続ける夫を見ていると、「どうして私ばかり」と思わずにはいられませんでした。
式が終わり、帰りの車の中で、私はようやく夫に気持ちを伝えました。
「私だって、温かいうちに料理を食べたかった。あの場では言い合いになりたくなくて我慢したけれど、子どもがぐずったときに、当たり前のように私だけが対応するのはつらかった」
夫は少し驚いた様子で、「そんなに困っていたとは思わなかった。食べ終わったら代わろうと思っていた」と言いました。私は、「私だって食べたかったし、代わってほしいと言ったときに動いてくれなかったのが悲しかった」と伝えました。
すると夫は黙り込み、「そこまで考えていなかった。ごめん」と謝ってくれました。
夫に悪気はなかったのかもしれません。それでも、私が子どもの対応をすることを、どこか当たり前だと思っていたのだろうと感じました。
それ以来、子どもを連れて外食や行事に参加するときは、「先に食べていい?」「次は代わるね」と、夫婦で声をかけ合うようになりました。どちらか一人だけが我慢するのではなく、交代しながら過ごすことで、以前より気持ちにも余裕が持てるようになりました。
あの結婚式で食べたステーキの味は、残念ながらほとんど覚えていません。それでも、私がつらかった気持ちを夫に伝えられたこと、夫も自分の態度を振り返ってくれたことは、今のわが家にとって大切なきっかけになったと感じています。
著者:溝口奈々/30代女性/ 旦那と小学生2人の母。最近はガチャガチャ集めにハマっている
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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