結婚式当日、実母が要求してきたこと
私が結婚式を挙げたときのことです。
私は昔から、実母との関係に悩んできました。何かあるたびに否定的なことを言われたり、私の考えよりも母の希望を優先されたり……。結婚を機に遠方で暮らすようになってからは、適度な距離を保って接するようになりました。
だからこそ、結婚式は夫と私が納得できる形で、穏やかに迎えたい――それが私の願いでした。準備を進める中でさまざまな演出を検討し、花嫁のベールを下ろして挙式へ送り出すベールダウンは行わず、家族には別の形で式に関わってもらうことに。
母にも事前に、「ベールダウンはしないことにしたよ」と伝えました。母から返ってきたのは、「そうなの?」という言葉だけ。そのときはそれ以上の話にならず、私も当日は決めた内容で進むものだと思っていました。
そして迎えた結婚式当日。式の直前までは大きな問題もなく進み、私はようやく安心しかけていました。
ところが、入場を控えてスタッフさんと移動しようとしていたとき、母が突然私のそばへやって来ました。
「やっぱり、ベールダウンはやらせてちょうだい」
私は驚いて、「でも、やらないって事前に話したよね」と伝えました。近くにいたスタッフさんも、予定にない申し出に戸惑っている様子でした。それでも母は引かず、私はどう対応すればよいのか迷いました。
本当は、もう一度きっぱり断りたかったです。でも、入場直前で、これ以上やりとりを続ければ式の進行に影響が出たり、スタッフさんや周囲の人たちに迷惑を掛けたりするかもしれません。
スタッフさんからは、急な変更でも対応できると言われました。私もその場を混乱させたくないという思いがあり、強く拒むことができませんでした。結局、予定にはなかったベールダウンを受け入れることになりました。
母は私のベールを整え、ゆっくりと下ろしました。その姿は、母にとって大切な時間だったのだと思います。傍から見れば、母と娘の心温まる場面に見えたのかもしれません。
けれど私の気持ちは、晴れませんでした。自分たちで決めたことよりも、母の「やりたい」という気持ちを優先させることになってしまったからです。式を終えたあと、写真を見返すと、ベールダウンの場面もきれいに残っていました。母はうれしそうに写っています。でも私は、その写真を見るたびに、あのとき断り切れなかった自分の気持ちを思い出しました。
母に悪意があったとは思いません。母にとっては、娘の結婚式で果たしたい大切な役目だったのだと思います。それでも、私にとっても、自分たちで考えて決めた大切な結婚式でした。
たとえ親子でも、相手が望んでいないことを、親の思いだけで押し切られてしまうと、素直にうれしいとは思えないのだと感じました。
あの出来事以来、母に何かを求められたときは、その場の雰囲気に流されるのではなく、自分の気持ちもきちんと伝えるよう意識しています。今でも結婚式の写真を見ると少し複雑な気持ちになりますが、あの経験があったからこそ、自分の大切な場面では自分の意思を大事にしたいと思えるようになりました。
◇ ◇ ◇
親にとって、子どもの結婚式は特別な一日。思い描いていた役目や、参加したい演出があることも少なくないでしょう。一方で、結婚式をどのような形で迎えるかを決めるのは、新郎新婦です。大切な日だからこそ、親子であっても、相手が伝えた希望や意思を尊重したいものですね。
著者:原山淳奈/30代女性/2021年生まれ、2025年生まれの娘、夫の4人暮らし。作業療法士として医療現場で7年間勤務後、出産を機に退職。現在は在宅で仕事に取り組んでいる。趣味は一眼レフで家族写真撮影をすること。幼少期から実母が苦手で、日々の子育てでも実母のようにならないか不安になりやすい。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
※AI生成画像を使用しています
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