在宅勤務中にピンポン攻撃
平日、息子が学校から帰宅し、私がリビングで仕事に集中していると、インターホンの音が鳴り響きました。モニターを確認すると、息子のクラスメイトの女の子Aちゃんが立っています。息子は家にいましたが、宿題の最中で「遊びたくない」とひと言。
私がインターホン越しに「今は宿題をしていて遊べないと言っているよ。私も仕事中だし、今日は帰ってね」と断りました。息子は「Aちゃんとは学校で話をするけど、そんなに仲良くない」と言い、なぜAちゃんがわが家に遊びに来たのかわからない、と首を傾げます。しかし、Aちゃんは諦めませんでした。翌日も、その翌日も、連日来ては、何度もインターホンを押すようになったのです。
あまりのしつこさに、私はAちゃんの母親に直接連絡をとることに。自治会の役員が一緒だったことがあり、運よく連絡先を知っていたのでした。「息子も遊べないと言っているので、毎日約束なしで来るのは控えてほしいです。私も在宅で仕事をしていて、面倒見られませんし」と、角が立たないようていねいに伝えました。すると、相手から飛び出したのは謝罪ではなく、「在宅勤務なら家にいるんだから、少しくらい中に入れてくれてもいいでしょう? 子どもが遊びたいって言ってるんだから、そんなに冷たくするのはどうかと思いますけど! 薄情ですね」という信じられない言葉でした。
相手は、在宅勤務を「家で暇をしている」と勘違いし、さらにAちゃんの遊びたいという欲求を、こちらの都合を無視して押し通そうとします。そして一方的に電話を切られてしまったのです。
私は怒りを抑え、「家にいても日中は勤務時間内です。仕事が終わらないと夜中も稼働しなくてはなりません。何より、遊べないという子ども本人の意思や事情を無視するほうがどうかと思います」とメッセージを送りました。それでも返信は、「じゃあ、いつならいいんですか?」とこちらの言い分を理解してくれる気配はなく、その後も、Aちゃんのピンポン攻撃は1週間近く続いたのです。
それどころか、相手の母親はよほど私の対応が気に入らなかったのか、他のママ友たちに「あの家は在宅勤務のくせに、うちの子を『来るな』って追い返したの。信じられない」と、歪曲した噂を流していることまで発覚しました。幸い、事情を知る他のママ友たちが私の味方をしてくれましたが、その執念深さと非常識さには恐怖すら覚えました。
これ以上はらちがあかないと判断し、クラス担任の先生に相談しました。先生は、「そうですか。お宅もですか」と困った表情。聞くと、同じような相談が数件寄せられており、Aちゃんは、近くの友だち宅を訪問し、断られたら次々と他を回っているそうです。先生は「お母さんがパートに出て不在の日が多いので、きっとAちゃんも寂しかったんでしょうね」と気づかいつつ、「それでも、少し過剰ですよね。私がお母さんと話し合って、頼んでみますから」と言ってくれました。
それから数日後、先生の説得が効いたのか、Aちゃんは学童保育に通うようになり、ピンポン攻撃はピッタリ止みました。私はようやく息子との静かな時間と、仕事環境を取り戻せたことに安堵するとともに、Aちゃんも安らぎの場を見つけられたのかな、と少しホッとしました。
Aちゃんに悪気はなかったのでしょう。寂しさから、遊びたかったという気持ちも十分理解できます。しかし、その振る舞いが周囲に迷惑を及ぼすなら、注意するのは親の仕事だと私は思います。今回の出来事を教訓に、息子にも相手の都合に配慮した行動が取れるよう教えていきたいと思いました。
著者:井島りほ/30代・ライター。小学1年生の息子と年少の娘を育てるママ。おしゃべりが大好きで寝るのが苦手な兄妹と、にぎやかな毎日を過ごしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)