義母から渡された激辛料理
義実家で義妹家族も集まり、みんなで中華料理のテイクアウトを囲んだ日のことです。テーブルには炒飯や餃子、青椒肉絲など、子どもでも食べやすい料理が並んでいました。
ところが、義母が私にだけ差し出してきたのは、赤みの強い麻婆豆腐でした。近くに置かれた瞬間、ふわっと刺激のある香りがして、辛いものが苦手な私は思わず身構えてしまいました。
「あなた、辛い料理好きでしょ? さあどうぞ、遠慮なく食べて!」
笑顔の義母に、悪気があったのかどうかはわかりません。ただ、私は以前、辛いものが苦手だと伝えたことがあります。それなのにすすめられたことに戸惑い、すぐには言葉が出ませんでした。
とはいえ、義実家で親戚も集まっている場です。空気を悪くしたくなかった私は、「いただきます」と言って、いったん麻婆豆腐を受け取りました。するとそのタイミングで、子どもが「トイレに行きたい」と言い出したため、私は席を立つことに……。
席を外した直後、夫と義父が……
数分後、席に戻ると、テーブルの料理の位置が少し変わっていました。私の前にあったはずの激辛麻婆豆腐が、夫と義父の近くへ移動していたのです。私が「あれ?」と思った次の瞬間、夫が「これ、うまそうだな」とひと口。続いて義父も何気なく口にしました。
すると2人は顔を真っ赤にしてむせ込みます。「辛っ! これ、普通に食べられる辛さじゃないだろ!」「なんだこれは!? 辛すぎる!」慌てて水を飲む夫と義父。その様子を見た義母は、さっきまでの笑顔が消え、みるみる顔面蒼白になりました。
義父は私のほうを見て、「これ、さっき君に出されていたものだよね?」と確認すると、険しい表情で義母にこう言いました。
「こんな辛いものを人にすすめるな! 食べられるか確認してから出しなさい」
義母は「辛いものが好きだと思って……」と言っていましたが、夫が「前に苦手だって言ってたよね」ときっぱり答えてくれました。自分から強く言い返すことはできませんでしたが、夫と義父が状況に気づいてくれたことで、胸のつかえが少し取れた気がしました。
場の空気を壊したくないと思って我慢してしまうこともありますが、苦手なことや嫌なことは、信頼できる家族に間に入ってもらいながら伝えることも大切なのだと感じた出来事でした。
著者:高橋 朋美/30代女性/7歳と4歳のわんぱくな兄弟を育てるパート主婦。最近の楽しみは、子どもたちが寝静まった後の読書。
イラスト:きょこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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