「ねんねしてるねー」娘の純粋な言葉に親族は涙
友人のAさんは37歳の主婦で、やさしい夫と天真爛漫な2歳の娘と暮らしています。先日、義祖父が亡くなり、感謝を伝えきちんとお別れをすべく、家族でお葬式に参加しました。
まだ幼い娘はイヤイヤ期真っただ中です。連れていくのは少し不安でしたが、義祖父は娘が生まれたときから「こんなにかわいい宝物はいない。目に入れても痛くない」と溺愛。帰省するたびに娘を抱きしめてくれた義祖父の顔を思い出すと、どうしても最後は家族そろって見送りたかったのです。
Aさんは娘が会場で騒ぎ出さないか、走り回って迷惑をかけないか、常に目を配ります。夫と話をして「万が一のときはすぐに会場の外へ出よう」と決めていました。
状況をわかっていない娘は、棺の中をのぞき込み「ひいじいちゃん、ねんねしてるねー」ときょとんとしていました。娘の言葉に、親族たちは涙ながらに「少し疲れて寝てるのかもね」「また起きて遊んでくれないかな?」とやさしくうなずいてくれていました。
大暴走!お経の最中にお坊さんの隣で木魚を連打
久しぶりに会う親戚たちと思い出話をしていると「まもなく、葬儀を始めます。皆さま、ご着席ください」とアナウンスが流れました。Aさん一家も席に着こうとしたそのとき、会場中に響き渡る声がしました。
娘が元気いっぱいに「みんなー! おいでー! 始まるよー!」と大声で叫んだのです。突然のことに慌てるAさんをよそに、夫や親族たちは「張り切っているな!」と、まさかの大笑い。Aさんは顔を真っ赤にしながら「しー! 静かに! ひいじいちゃんにありがとうとバイバイをするよ」と必死に言い聞かせました。
娘は少し不満げに「はーい」と口をとがらせながら返事をし、着席。冷や汗をかいたAさんでしたが、その後は滞りなく式は進みました。
しかし、おとなしく座ってくれていた娘が、再び思わぬ行動に出たのです。厳かな雰囲気の中、今度は急に立ち上がり、お経を読み上げるお坊さんのほうへ一目散に走り出します。そして、驚いたことに、木魚を楽しそうにたたき始めたのです。まだ幼い娘には、木魚が楽器のように見えたのかもしれません。
Aさんは頭が真っ白になりながらも、震える声で「すみません……!」と言い、引き戻そうとしました。しかし、お坊さんは「構いませんよ」とAさんを制し、娘を隣に座らせ、そのままお経を唱え続けました。
「お葬式は子どもの祭り」娘の姿が場を和ませて
葬儀が終わると、Aさんは急いで席を立ちます。娘を抱きかかえ、義祖母や義両親、そしてお坊さんのもとへ駆け寄り、何度も頭を下げて平謝りします。しかし、そこで返ってきたのは意外すぎる言葉でした。
お坊さんは
「謝る必要はございませんよ。これが本来のお葬式の姿なんです。子どもがいるということは、命がつながっているという証拠です。仏様も喜んでおられると思います」
と、娘にやさしく微笑みます。続けて義祖母も「お葬式は子どもの祭り、なんて言うからねえ」とニコニコです。
実は、義祖父が暮らしていた地域周辺では、「お葬式は子どもの祭り」と言われており、子どもが騒げば騒ぐほど、故人が寂しがらずに旅立てるという考えがあるのだそう。そのため、葬儀場にいたお坊さんや親戚は、誰も娘が騒いだことを気にしていなかったのです。
義両親も「娘ちゃんのおかげでしんみりしすぎず、場も和んだね。きっとひいじいちゃんもお空で笑ってくれているよ」と、娘の頭をなでてくれました。
まとめ
幼い子どもを連れて葬儀に参列するにあたり、「静かにさせなければ」というプレッシャーを感じていたAさん。しかし、今回Aさんが触れたのは、子どもが騒いだことを「故人をにぎやかに見送るもの」と捉える地域の温かな風習でした。周囲のやさしさに救われ、張り詰めていた肩の力がふっと抜けたと、Aさんは言います。
娘の予想外の行動には冷や汗をかきましたが、結果として笑顔で故人を送ることができ、「葬儀の本当の意味を教わったような気がした」と話していました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:松下侑可/30代女性。娘と息子の育児に日々追われている。そろそろ本気で産後ダイエットを始めたいと思いつつ、食後の甘いものが辞められない。
イラスト:きょこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
関連記事:「誰ひとり正しいお焼香ができませんでしたね」葬儀の終盤にお坊さんがひと言。場の空気が凍った理由
関連記事:「静かに送ろう」義母を直葬で見送った数日後、部屋から一枚の書類を発見。内容を見て固まった理由
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!