当たり前だと思っている夫との温度差
夫は実家暮らしが長く、帰宅すれば食事が用意されている環境で育ちました。もちろん、それ自体が悪いことではありません。ただ、結婚したからといって私が同じようにできるわけではありませんでした。
共働きのわが家では、私が仕事を終えてから買い物をし、帰宅後すぐに夕飯の準備をする毎日でした。そのため結婚当初から、夫には「帰る時間がわかったら連絡してほしい」とお願いしていたのです。
ところが夫は、「忘れてた」「送ったつもりだった」と言うばかり。
私は何度も作り始めるタイミングを迷い、そのたびに予定が狂いました。小さなことかもしれませんが、その積み重ねが少しずつストレスになっていったのです。
「作るだけでしょ?」と言われて…
ある日、私は思い切って気持ちを伝えました。
「帰宅時間がわからないまま毎日ご飯を作るのは正直大変なんだよね」
すると夫は不思議そうな顔でこう言ったのです。
「俺のほうが帰り遅いんだから、普通に作れるでしょ」
実際は、帰宅時間に大きな差があるわけではありませんでした。
買い物をして献立を考え、調理して片付ける。その一連の家事を、夫はまるで「作るだけ」の簡単な作業のように考えていたのです。
私は大きなショックを受けると同時に、家事の大変さがまったく伝わっていないことに強い苛立ちも覚えました。
私は家政婦じゃない!
そんなある日のことです。仕事帰りに冷蔵庫を見ると、買っておいた秋刀魚がありました。疲れていましたが、下処理をして焼き、味噌汁や副菜も用意しました。
ちょうど夕飯が完成したころに夫が帰宅し、食卓につきました。ところが夫は秋刀魚を数口食べたあと、「あんまり好きじゃないんだよね」とため息をついて箸を置いたのです。
その瞬間、私の中で何かが切れました。
「ふざけないで。私は家政婦じゃないんだけど!」
初めて感情をぶつけた私に、夫もようやく事態の深刻さを理解したようでした。すぐに謝罪し、その日以降、私たちは家事の分担について改めて話し合うことになったのです。
話し合いの結果、週の半分は夫が夕飯を担当することになりました。
実際に自分で買い物をし、献立を考え、仕事終わりに料理をするようになったことで、夫はこれまで私が感じていた負担を少しずつ理解してくれるようになりました。
結婚生活では、育ってきた環境の違いが思った以上に表面化します。そして、自分にとっての「当たり前」は相手にとっても当たり前とは限りません。
この経験を通して私が学んだのは、不満を我慢し続けるのではなく、きちんと言葉にして伝えることの大切さです。「言わなくてもわかるはず」と期待するのではなく、お互いの当たり前の違いを伝え合うことが、夫婦として歩んでいくためには必要なのだと実感しました。
著者:榊原愛七/30代女性・1児の母。看護師・カウンセラー兼、恋愛エピソードを執筆するライター。
イラスト:ほや助
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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