面談のわずか2日後から、高橋さんたち本部による本格的な聞き取り調査が始まりました。レジの売上データやスタッフの証言、そして、ほや助さんが書き溜めていた「暴言メモ」によって悪事は次々と証明され、店長はついに自宅待機を命じられました。
高橋さんによると、当の本人はかなり動揺していたとのこと。それにもかかわらず、「スタッフの被害妄想だ」「悪気はなかった」と、どこまでも保身に走る言い訳を続けていたといいます。部下を休職にまで追い込んでおいて、最後まで悪びれもしない店長に、ほや助さんは再び激しい怒りを覚えるのでした。
そして、ほや助さんが店を辞める直前、高橋さんが報告に来てくれました。そこで聞かされたのは……。
パワハラを認めない店長の行く末は…














高橋さんから報告があったのは、私たちが辞める2日前のことでした。
「懲戒解雇、ですか……?」
「最初は自主退職を勧めていたんですが……」
高橋さんによると、店長は過剰サービスと金庫のお金の件こそ認めたものの、パワハラについては最後までまったく話し合いにならなかったそうです。
「あいつ(宮田さん)にも他の奴らにも、社会の厳しさを教えてやっていただけなんですよ! 「教育的指導」ってやつですよッ!」
この期に及んで、まだそんなくだらないこと言っているんだ……。何が教育的指導だよ。本部が情けをかけてくれたのに……(かける価値もないけど)。
でも、これで店長はクビ。懲戒解雇なら、きっと退職金もないはずです。いい大人にもなって自分の非を認められないようなプライドの高さでは、再就職だってなかなか難しいでしょう。
宮田さんが休職して1カ月近くがたってしまったけれど、これでやっと彼女に顔向けができる。
その後、しゃぶしゃぶ屋を辞めた私は、近所のドラッグストアで働き始めました。
当たり前のことだけど、ここには誰かの怒鳴る声も、その誰かに怒鳴られて泣く声もない。
「平和だ……」
そしてある日、宮田さんから連絡がありました。
ずっと返信できなくて本当にごめんね。
あのとき、全部投げ出しちゃったのが申し訳なくて、連絡できなくなっちゃって。
店長の件、私も聞きました。
実は辞めようかと思っていたけど、これを機にまた頑張って復帰しようと思って。
最後まで店長と戦ってくれた、みんなのおかげだよ。
ほや助さん、ありがとう。
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最後まで自らの非を認めず、パワハラ行為を「教育的指導」と言い張った店長。その傲慢さが、会社が提示してくれた「自主退職」という最後の情けを自らたたきつぶし、「懲戒解雇」という最悪の、そして当然の結末を招くこととなりました。
しかし、この戦いの本当の勝利は、店長が去ったことそのものではありません。宮田さんが「全部投げ出してしまった」という苦しい罪悪感から解放され、「もう一度頑張って復帰しよう」と前を向けたこと。これこそが、ほや助さんたちが勝ち取った、最高の成果ではないでしょうか。「ありがとう」――この言葉に、すべてが救われましたね。
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