カプセルトイの前で突然怒鳴られて…
ある休日、家族でショッピングモールへ出かけたときのことです。帰りがけにカプセルトイコーナーを見つけた娘たちが「やりたい!」と走っていきました。「1人1回だけね」と約束し、2人に100円ずつ渡すことに。
長女がうれしそうにハンドルを回すと、ガタンと大きな音が響いたものの、なぜかカプセルが出てきません。不安げに半泣きになる長女を見て故障を疑った私は、近くにいた店員さんに声をかけました。
店員さんが鍵を持って機械を開けようとしてくれたそのとき、後ろから突然「ちょっと! それ、おかしくないですか?」と鋭い声が飛んできたのです。振り返ると、見知らぬ女性が険しい顔でこちらを睨みつけており、「今、カプセルが出ているじゃない! そうやって店員さんを呼んで、もう1個もらうつもりなの? 卑怯ね!」と、信じられない言葉を投げつけてきました。
店員さんが機械を開けると…
その女性は、取り出し口付近に誰かが置き去りにした空のカプセルを見て、私たちがすでに商品を受け取っていると勘違いしたようでした。私が「違います、本当に出ていないんです」と必死に説明しても相手は聞く耳を持たず、「うちの子も前に同じようなことがあったけど、そんなことしなかったわよ! 」と声を荒らげ続けます。
周囲の視線が一気に集まり、長女は心配そうに私の服をギュッとつかみ、次女は怖がって泣き始めてしまいました。私が悔しさと恥ずかしさを必死に堪えていると、店員さんが機械を開けて中を確認し、「お客様のお子様の商品は中に残っていますよ」と女性にも見えるように説明してくれました。
その瞬間、辺りの空気が一変。女性の隣にいた、息子さんと思われる小学生くらいの男の子が「ママ……あのときは、僕がカプセル取ったことを忘れちゃってただけだよ……」と小さな声で告白したのです。
どうやら女性が言っていた“同じようなこと”とは、機械の故障ではなく、息子さんがカプセルを受け取ったあとに、そのことを忘れて「出てこなかった」と勘違いした出来事だったようでした。
すると、顔を真っ赤にした女性は「もういいです!」と言い捨て、息子の手を引いて足早に立ち去りました。
ショックを受けた娘への対応
女性が去ったあとも落ち込んでうつむいていた長女に、私はしゃがんで目線を合わせ、「びっくりしたね。でも、あなたは何も悪いことはしていないよ。困ったときに店員さんへ助けを求めたのは正しい行動だから、落ち込まなくて大丈夫」と伝えました。
長女は少し黙った後、「本当に?」と聞き返してきましたが、「本当だよ」と重ねて伝えると、ようやく少し笑って「よかった……」と呟きました。次女もすっかり泣き止んだので、店員さんにお礼を伝えたあと、次女もカプセルトイに挑戦。姉妹そろって楽しんで帰ることができました。
遊び慣れたカプセルトイでのまさかのトラブルでしたが、理不尽な言いがかりをぶつけられたときこそ、感情的にならず事実を冷静に確認することの大切さを痛感しました。あの日、怖い思いをさせてしまった長女に「あなたは悪くないよ」と繰り返し伝え、娘の心を第一に守ろうとした記憶は、今も私の心に強く残っています。
著者:海野まい/30代女性。2019年生まれの長女、2022年生まれの次女、夫の4人暮らし。介護福祉士としてデイサービスに5年間勤務後、出産を機に退職。現在は在宅でライティングの仕事をしながら育児に奮闘中。人見知りだけど心配性な性格で、子どもの安全についてはつい細かく確認してしまうタイプ。趣味はカフェ巡りとドラマ鑑賞。
イラスト:森田家
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)