

トイレに入ると「まさか…」
新しい職場は、男性社員ばかりの小さな会社でした。女性は私と、もうすぐ定年退職される事務員さんの2人だけです。
勤務初日の休憩時間、トイレに入った私は、個室の中にサニタリーボックスがないことに気づきました。しかし、入社したばかりで「サニタリーボックスを置いてほしい」とお願いする勇気はありませんでした。
結局しばらくの間は、使い終わった生理用品をポーチへ入れて持ち帰る日々が続き、小さなこととはいえストレスを感じていました。
上司からの思いがけないひと言
入社してしばらく経ったころ、上司との面談がありました。仕事についての話が一段落すると、上司は少し言葉を選びながら、こんなふうに声をかけてくれたのです。
「男ばかりの職場だから、不便なこともあると思うんだ。遠慮せず、何でも言ってほしい」
そして、「着替えのこととか、お手洗いのこととか、俺たちが気づけないこともあるだろうからね」と続けました。
その言葉に背中を押され、私はサニタリーボックスがないことを打ち明けました。すると上司は、「もちろん、必要なものは用意するよ」と、すぐに対応を約束してくれたのです。
上司のやさしさの裏側
後日、お礼を伝えると、上司が少し照れながら教えてくれました。
実は、私が入社する前に奥様から、「若い女性が入るなら、ちゃんと気を配ってあげて。お手洗いのことなんかもあるでしょう」とアドバイスを受けていたそうです。
上司自身も、「どう切り出せば失礼にならないか」「セクハラだと思われないだろうか」と悩みながら、あの日の言葉をかけてくれていたのでした。
その話を聞き、上司だけでなく、会ったことのない奥様のやさしさにも心が温かくなったのを覚えています。
もちろん、職場によって事情はさまざまだと思います。それでも、この出来事を通して、困っていることは一人で抱え込まず、勇気を出して伝えることも大切なのだと実感しました。
相手を思いやりながら声をかけてくれた上司と、その背中を押してくれた奥様のやさしさは、今でも忘れられません。新しい職場で感じた不安を、温かい気持ちに変えてくれた出来事でした。
著者:藍田みのり/30代女性・夫、娘1人と暮らす専業主婦。地方銀行、貿易事務、保育園・障害児施設の運営などに従事。趣味は紅茶とゲーム。最近は家族で、公園や遊び場、観光スポットを開拓しています。
作画:まっふ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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