姉がくれた1冊の料理本
大学進学を機にひとり暮らしを始めた私は、「これからは自分で料理をしなきゃ」と不安でいっぱいでした。そんな私に、ひと足先に実家を出ていた姉は、辞書のように分厚い料理本を差し出してこう言いました。
「まずは、この本の料理をひと通り作ってみて。きっと料理ができるようになるから」
そう言われた私は、「これ全部つくるの?」と驚きました。
最初は包丁もうまく使えず、食材を無駄にすることもありました。それでも毎日続けるうちに、余った食材で別の料理を作れるようになり、下ごしらえや保存方法も自然と身についていきました。
結局、料理本をすべて作り終えるまでかかったのは約2年。しかしそのころには、「家で作る料理って、こんなにおいしいんだ」と感じるようになり、料理が少しずつ好きになっていったのです。
「こんなの、お店でも食べたことがない!」
その後、夫と出会い、同棲生活が始まりました。初めて夫に作った料理は、豚のしょうが焼きです。
レシピを思い出しながら作り、食卓へ並べました。すると、ひと口食べた夫が驚いたような表情で、こう言いました。
「どうやったらこんなにお肉がやわらかくなるの!? こんなの、お店でも食べたことがない!」
まさかそこまで喜んでもらえるとは思っておらず、私までびっくりしてしまいました。
それまではレシピ通りに作ることだけを意識していましたが、そこからは夫の好みに合わせて味付けを変えたり、栄養バランスを考えたりと、自分なりに工夫するようになったのです。
外食も料理の勉強に
今でも夫は、私の料理をおいしいと喜んで食べてくれます。
休日に外食へ行くと、夫は「また家で再現してくれるでしょ?」と笑います。実際、私は外食で気に入った料理があると、わが家好みにアレンジして作るのが習慣になりました。
「前よりもっと好きな味になってる!」
そう言って喜んでくれる夫の笑顔が、今では料理を続ける一番の励みになっています。
メシマズ家庭で育った私ですが、姉から譲り受けた1冊の料理本が、料理を好きになるきっかけをくれました。今でも失敗することはありますが、夫の「おいしい!」のひと言が、料理を続ける一番の励みになっています。
著者:今西梨沙/30代女性・2023年、2024年に男児を出産。薬剤師資格保有。専門知識を生かして、健康や美容にかんする記事を執筆している。サッカー観戦と料理が趣味。
イラスト:おみき
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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