予約した指定席に見知らぬ荷物
息子が6歳のころ、実家へ帰省するために新幹線の指定席を予約しました。楽しみにしていた帰省でしたが、乗車後、席に向かうと、思わぬことが起きました。
私たちの座席には、大きなキャリーケースとリュックだけが置かれていたのです。周りの乗客の方に尋ねると、「さっき荷物だけ置いて、どこかへ行かれましたよ」と教えてくれました。すぐに戻ってくるのかもしれないと思い、しばらくその場で待つことにしました。けれど、持ち主はなかなか戻ってきません。
通路で息子と並んで立ったまま待つ時間は、とても長く感じられました。6歳の息子も少しずつ疲れてきて、ぐずりそうな様子です。「せっかく指定席を取ったのに、どうして座れないんだろう」そう思うと、私もだんだん焦ってきました。
発車直前になって、ようやく持ち主の男性が車内販売の品物を抱えて戻ってきました。ほっとして事情を説明し、荷物を移動してもらおうと声をかけます。ところが、男性からは思いがけない言葉が返ってきました。
「ちょっと荷物を置かせてもらってただけでしょう。少しくらい待てませんか」
そう言うと、男性は不機嫌そうな様子で、荷物を整理し始めました。けれど、その動作はゆっくりとしていて、なかなか席が空く気配がありません。発車時刻が刻一刻と近づく中、こちらが間違ったことを言っているわけではないはずなのに、強く出られてしまい、私は困ってしまいました。このままふたりだけで話していても、埒が明かないまま発車してしまうかもしれません。そこで、近くを通りかかった車掌さんに相談することに。
すると車掌さんは、私たちの切符を確認したうえで、男性に丁寧に説明してくださいました。指定席は荷物を置く場所ではなく、予約した本人が利用する席であること。他の利用者を通路で待たせるような使い方は控えてほしいことを、落ち着いた口調で伝えてくれました。
男性は納得しきっていない様子でしたが、渋々荷物を移動。ようやく席に座れたとき、正直ほっとしました。
その後は特にトラブルもなく、息子も車窓からの景色を眺めているうちに機嫌を取り戻しました。予定通り、実家へ到着することができました。
荷物だけで席を長く占めてしまうと、そこを利用するはずの人が困ってしまいます。今回、私は持ち主がすぐに戻ってくるかもしれないと思い、その場で待っていました。しかし、息子を連れて通路に立ち続けるうちに、次第に焦りも募っていきました。
自分だけで解決しようとせず、その時点で車掌さんに相談してもよかったのかもしれません。困ったときや、当事者同士では解決が難しいと感じたときは、無理に我慢せず、早めに乗務員へ相談することも大切だと感じた出来事でした。
著者:西村彩花/40代女性/母です。パート事務として働きながら、休日は家族で電車に乗って小旅行を楽しむのが好きです。
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)