息子の友だちのリクエストに応えたのに…
「ねえ、今度ここでたこ焼きパーティーがしたい!」という、よく遊びにきていた息子の友だちAくんの要望を聞き、私は「たまにはいいかもね」と思い快諾。Aくんママとは子ども会の行事で連絡先を交換していたので、念のためAくんママに確認を取りました。「お言葉に甘えて! 仕事で私は行けないけど、あの子なんでも食べるから! お願いしま~す」と返信があったので、パーティーの当日、朝からたこをぶつ切りにし、たくさんの具材も用意。私は、子どもたちの目の前で、小気味良くたこ焼きを焼き上げていました。
「うわぁ、おいしそう」と、次々と完成するたこ焼きに目を輝かせるAくん。しかし、いざ食べ始めると、Aくんはたこ焼きを2、3個つまんだだけで「もう飽きた、お菓子がいい」と、予想外のことを言い出すのです。そして勝手にキッチンへ入ると、パントリーにストックしていたスナック菓子を無断で開封し、食べ始めたではありませんか。「あ、勝手に食べたらだめだよ」と言ったのですが、そんなのお構いなしにクッキー、チョコ、せんべいなど、まるで宝探しのようにお菓子を見つけ出し、次から次へと“制覇”していくのです。
今思えば、Aくんは以前から遊びに来るたび、「喉乾いたからジュースちょうだい」「なんかお菓子ないの?」と遠慮なく言ったり、片づけをせずに帰ったりと、少し見ていて心配な様子がありました。その都度「よその家ではそういうこと言わないんだよ」とやさしく注意はしつつも、私は「まだ子どもだし、少し遠慮がないだけかな」と深く考えていなかったのです。
「たこ焼きもいっぱい焼けてるよ」と声をかけましたが、Aくんは、たこ焼きには目もくれずお菓子に夢中。一緒にいた息子は戸惑い、気まずそうに下を向いたまま、「Aくん、それママのだからさ……。たこ焼き食べようよ」と蚊の鳴くような声で注意しましたが、Aくんは完全に無視。息子はそれ以上言えず、ただ黙ってたこ焼きを口に運ぶしかありませんでした。結局Aくんは1時間で計5袋をひとりで空に。あまりの食べっぷりと、これまでとは比べ物にならないわがままな振る舞いに、私はすっかり困惑してしまいました。
後日、学校の行事でAくんのママに会いました。「先日はありがとうございました。タコパ、Aもとっても楽しかったって言ってました!」と声をかけてくれた彼女に、私は意を決して事実を伝えることにしたのです。「実はあの日ね、Aくん、たこ焼きよりもお菓子が気に入っちゃったみたいで。パントリーを開けて、在庫を5袋分、全部ひとりで食べちゃったの。ちょっと食べ過ぎかなって心配になっちゃって……。もしよかったら、次はAくんの好きな分だけお菓子を持たせてもらえると助かるな」と、嫌味ではなく「心配」と「お願い」として伝えてみました。
しかし、Aくんママの反応は、「え? 5袋?」と一瞬驚きつつも、「あはは、あの子ったら本当によく食べるのよ! でも、お宅が呼んでくれたんでしょ? 子どものすることなんだから、大目に見てよ〜! それに、おなかが空いてたら目の前にあるもの食べちゃうのなんて、普通じゃない?」と、私の予想とは全く異なるものでした。
私は思わず「いや、でも勝手に棚を開けてしまうのは……」と言いかけましたが、Aくんママは遮るように「うちではそういう、細かいこと言わない教育方針だから。お菓子くらいでそんなに目くじら立てなくても……。なんだか、ケチくさいこと言われちゃうのね」と続けます。謝罪の言葉どころか、まるでこちらが心が狭いクレーマーであるかのような言い草に、あきれて言葉が出ません。
そこへ、一部始終を聞いていた別のママ友のBさんが冷ややかに割って入りました。「横からごめんね。でもそれ、教育じゃなくてただの放置だし、マナー違反よ。よその家の収納を勝手に漁るのが普通だなんて、聞いたことないわ」と言うと、周囲のママたちが「ここで言うのもなんだけど、うちもこの前Aくんに、家にあったアイス勝手に食べられててびっくりしたの」と「うちも……。これ以上続くならAくんとはもう遊ばせられないって思ってたの」と口々に話し出します。Aくんママは顔を真っ赤にし、ぐうの音も出ない様子で「あの、その、ごめんなさい!」とその場から逃げるように去っていきました。
今回の件で、私自身、よその子であってもマナー違反にはその場で毅然と注意しようと心に決めました。わが子が迷惑をかけているにもかかわらず、「家庭の方針」と言い訳するAくんママの態度には、親としての無責任さを感じざるを得ませんでした。親の評判が悪くなるだけでなく、Aくん自身が周囲から孤立してしまう可能性もあったと思います。
以降、Aくんはママにきちんと注意されたのか、自分勝手な要求をしなくなりましたが、親の目の届かない場所でのわが子の振る舞いに親が常に気を配り、周囲の忠告に耳を傾ける素直さは忘れないようにしようと思った出来事でした。
著者:佐野千佳/30代・パート。8歳の息子と4歳の娘を育てながら、週5回パートに出るワーママ。自分のしたいことも楽しむアクティブ系女子。真面目でやさしく研究熱心な息子と、ポジティブで明るくひょうきんな娘に癒やされる日々を送っている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)