公園で声をかけてきた見知らぬ女性
休日の夕方、娘を抱いて近くの公園のベンチで風に当たっていた時のことです。初めての育児に少し疲れ気味だった私は、娘の寝顔を見つめながら、穏やかな時間を過ごして心を落ち着かせていました。
そこへ、古びた大きなキャリーケースを引いた見知らぬ年配の女性が近付いてきたのです。女性は娘の顔を覗き込むと、突然険しい表情になりました。そして「失礼ですが……」と言ったかと思うと「この子の後ろに大きな黒い影が見える、今すぐお祓いをしないと災いが起きる」と、早口でまくしたててきました。
あまりに異様な迫力と、聞いたこともない不気味な言葉に、私はどう反応していいかわからず、体が固まってしまいました。とにかく怖い、という気持ちしかありませんでした。
この人には関わってはいけない。そう感じた私は、「すみません」とだけ告げてすぐに立ち上がり、足早にその場を離れました。女性はしばらく後ろから大声で何かを叫んでいましたが、追いかけてくる様子はありません。
それでも気が気ではなく、私は娘を抱えたまま夢中で自宅まで走り、家に着くと鍵を厳重に閉めました。しばらくは心臓の音がおさまらなかったのを覚えています。
後日、地域の防犯メールで「近隣の公園で不審な声かけ事案が発生」との注意喚起があり、あの時の女性だったのだと確信しました。自分の感じた怖さは気のせいではなかったのだと分かって、少しほっとしたような、それでいて背筋が冷えるような気持ちになりました。
それ以来、娘と2人きりのときは、夕方の公園には近づかないようにしています。あの日は「関わってはいけない」ととっさに思えたことに、今でも救われた気がしています。子どもを連れていると、自分一人の時よりもずっと慎重になる自分がいます。何かおかしいと感じた時に、その感覚を信じてその場を離れてよいのだと思えるようになったことが、私にとっては一番の変化でした。今も娘と公園へ行くたびに、あの夕方のことを少しだけ思い出しています。
著者:吉野佳子/30代女性/4歳の女の子を育てている母親、会社員。趣味はショッピングです。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)
※AI生成画像を使用しています