「お刺身が足りない」と義母に伝えた結果
結婚して初めてのお盆に、義実家で親族が集まる食事会がありました。義母は「今日は奮発したのよ」と言いながら、テーブルいっぱいにごちそうを並べてくれました。豪華なお刺身の盛り合わせ、お寿司、煮物。並んだお皿を見て、私も「おいしそうですね」と声をかけ、緊張していた気持ちが少し和らいだのを覚えています。初めての親族の集まりで緊張していたので、料理の話ができるだけでもありがたかったのです。
ところが、いざ席に着くと、私の前にだけお刺身がありません。最初は配り忘れだろうと思い、義母に声をかけました。
「すみません。お刺身のお皿が一つ足りないみたいです」
すると義母は、私の前に残り物の煮物を置きながら、当たり前のことのように言いました。
「足りないんじゃないのよ。あなたはまだ若いから、高いお刺身の味なんてわからないでしょう」
義父と夫、夫の弟、親戚たちには、きちんと同じ料理が出されています。私だけが別扱いでした。周りの人たちも気まずそうにしていましたが、誰も何も言いません。私自身も、ここで何か言えば場の空気を壊してしまうと思い、「ありがとうございます」と答えるのが精いっぱいでした。
そのとき、隣に座っていた夫が義母に尋ねました。
「母さん、それって、わざと彼女の分だけ用意しなかったってこと?」
義母は「だって、まだ若いんだから」と繰り返しました。夫は静かな声で言いました。
「若いからって一人だけ違うのはおかしいよ。みんな同じにしようよ」
責めるような言い方ではなく、穏やかな口調でしたが、はっきりとした言葉でした。義母は「そんなつもりじゃなかった」と慌てていましたが、それからは私だけ違う料理が出されることはなくなりました。
あの日のことを思い返すとき、「私は家族として見てもらえていないのかもしれない」と思ってしまったことが、今でも一番つらい記憶として残っています。
ただ、あの場で夫が言葉にしてくれたことは、私にとって大きな支えになりました。自分ひとりで我慢して飲み込まなくてもいいのだと、あのとき初めて思えたからです。今では義母とも普通に会話ができるようになりましたし、お盆に義実家へ行くことも、以前ほど身構えなくなりました。親族との関係でつらいことがあっても、夫が自分の側に立ってくれる。それだけで、気持ちはずいぶん違うのだと今は感じています。
著者:岩下美沙/30代女性/7歳の男の子を育てる母。事務仕事をしています。趣味は旅行です。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)