冷蔵庫の奥にしまった高級マンゴーを見つけた義母
実家の両親から、「いつも育児を頑張っているご褒美に」と、木箱に入った立派な完熟マンゴーが届きました。めったに口にできないものだったので、週末に家族みんなでゆっくり味わおうと、冷蔵庫の奥にそっとしまっておいたのです。
ところがその週末、遊びに来ていた義母が、おやつの準備をしようと冷蔵庫を開け、マンゴーを見つけてしまいました。義母は「あら、おいしそうな果物ね」と言うと、私に確認することもなく包丁で切り分けました。驚いている私の目の前で、義母はさらに保存容器を取り出したのです。
義母は切ったマンゴーの半分を保存容器に詰めると、「これ、半分もらって帰るわね」と、当たり前のように自分のバッグへしまおうとしたのです。たった一つしかない特別なマンゴーを、家族で分ける前に半分持っていかれる。楽しみにしていた分だけに、私はショックで言葉が出ませんでした。「待ってください」の一言すら、とっさに口から出てきませんでした。
リビングに気まずい空気が流れたそのときです。お皿と保存容器を交互に見ていた4歳の娘が、大きな声でこう言いました。
「おばあちゃん、それママが頑張ったご褒美なんだよ。おばあちゃんが持って帰るの?」
娘のあまりにストレートな一言に、義母は手を止めました。
「あ……そうだったの? ごめんなさい」
義母は顔を赤くし、保存容器のマンゴーをそっとお皿に戻しました。
その様子がなんだかおかしくて、私は思わず吹き出してしまい、さっきまで張り詰めていた気持ちもどこかへ飛んでいきました。
結局その日は、義母も一緒に、家族みんなでマンゴーを味わうことができました。娘の言葉がなければ、モヤモヤした気持ちを抱えたまま週末を過ごしていたと思います。娘が無邪気に口にしてくれたおかげで、気まずさを長引かせずに済みました。
思いがけない出来事があっても、子どもの無邪気な一言が間に入ってくれることで、ふっと肩の力が抜けて丸く収まることもあるのだなと感じました。今ではあの日のことを思い出すたび、家族でくすっと笑ってしまう、わが家の思い出の一つになっています。
著者:七尾希子/30代女性/4歳の娘の母親。会社員。趣味はお菓子を作ること
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
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