義母から聞いた夫の借金の話
夫が以前、店を経営していたことは知っていました。経営がうまくいかず、借金を抱えたことも断片的には聞いています。
しかし、詳しい事情を尋ねたことはありません。夫が自分から話そうとしないことには、無理に踏み込まないほうがよいと思っていたからです。
義実家で同居していたころのある日、義母がふと、夫の店の話を始めました。
「あの店の借金は、私たちが立て替えたのよ。それなのに、あの子ったら……」
義母の口調からは、長年抱えてきた不満があるように感じられました。詳しい経緯を知らない私は、どう答えればよいかわからず、黙って話を聞いていました。
夫と家族のわだかまり
しばらくして、私は義母から借金の話を聞いたことを夫に伝えました。すると、夫は少し間を置いて、こう話したのです。
「親が借金を立て替えてくれたあと、きょうだいが両親に『どうして払ったんだ』と責めたんだ」
「そのとき、両親も『確かに、私たちが立て替える必要はなかったかもしれないね』と同調して、それからはきょうだいだけでなく、親まで僕を責めるようになってさ。少しずつ返していくつもりだったんだけどね」
その話を聞き、夫が家族と距離を置いている理由の一端が、ようやくわかった気がしました。
それぞれの事情を知っても答えは出ず…
夫にとっては、借金そのものよりも、その後の家族とのやりとりのほうが心に残っているのかもしれません。
両親には、お金を立て替えた側として思うところがあったのでしょう。ほかのきょうだいも、夫の借金を両親が立て替えたことに複雑な気持ちを抱いたのだと思います。夫だけが悪いとも、両親やきょうだいだけが悪いとも、私には言い切れません。
以前の私は、夫が家族に冷たく接しているように見え、「どうしてそこまで距離を置くのだろう」と疑問に思っていました。しかし、背景を知った今は、その気持ちを少し理解できるようになりました。
結婚していても、相手の過去や家族との関係をすべて知っているとは限りません。今回の話を聞いても、夫と家族の間にあった出来事のすべてを理解できたわけではありません。
それでも、知らなかったころより、夫の気持ちや家族との距離の取り方がわかるようになりました。夫の過去を一つ知り、以前よりも心の距離が近づいたことを、今はうれしく思っています。
著者:加藤奈恵/30代女性・東京都在住。夫と子どもの3人で暮らしている。
イラスト:にしこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
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