3秒の沈黙。娘が気づいたママの異変
ありがたいことに、娘は朝パッと起きてくれるタイプです。しかし、そこからが長くて、絵本を読んだり気が逸れたりで、なかなか朝ごはんが進みません。いつも通り「長い針が3になったら出るからね」と声をかけたのですが、声に張りを出す元気はありませんでした。
すると、いつもなら生返事の娘が、3秒ほどじっと私の顔を見て「ママ、いつもとちがう」と言ったのです。声の圧のなさに気づいたのかもしれません。
私は精一杯の笑顔で「ママ、今日はおまたから血が出てる日だから、ちょっとだけしんどいんだ」と返しました。どれくらい理解しているのかはわからなかったものの、以前、娘には生理について説明したことがありました。
娘は表情を変えず「ふーん」と言ってごはんに戻り、私たちはなんとか家を出て、いつものように娘は幼稚園へ、私はパートへ向かいました。
そして、なんとか仕事をこなし、夕方、疲労感とおなかの痛みに耐えながら、お迎えに行きました。


譲らない荷物
正直、元気はありませんでしたが、園庭から笑顔で「ママ!」と駆け寄ってくる娘の姿に、一瞬で心が癒やされました。
年長さんの持ち物は、お弁当袋や体操服、水筒などで……手提げ袋はなかなかの重量です。いつもなら私が手提げ袋を持つのですが、この日は違いました。娘は荷物を渡そうとしないのです。
「うん? どうしたの?」と問いかけると、娘はニコッと笑ってこう言いました。
「手提げ、もつ!」
そのまま、少しウキウキした足取りで歩き出しました。不思議に思った私が「ありがとう。でもどうしたの?」と聞くと、娘は立ち止まって振り返り、またにっこり笑ったのです。
彼女の笑顔と、その理由
「だって、ママ今日しんどいでしょ!」
そう言い残すと、娘はまたスキップをするように軽く弾みながら、駐車場に向かっていきました。
一瞬、私は娘が何を言ったのか理解できませんでした。けれど数秒経って、娘は朝の会話を覚えていて、生理中の私を労ってくれたのだとハッとしたのです。
娘の何気ない言葉に胸がじんわりと温かくなり、本当にうれしくて「ありがとう……!」と声を絞り出しました。
これまで生理のとき、体調不良をおして必死に育児をしてきた記憶が蘇ると同時に、娘が「しんどい人は助けよう」と思えるまで成長したのだと感じ、言葉にできないほど胸がいっぱいになりました。
帰宅後も、娘は「ママ、座ってて! ◯◯ちゃん(自分)がやるから!」と、積極的にお手伝いをしてくれました。娘のやさしさにたっぷりと甘えさせてもらったその夜は、体はしんどくても、心はこれ以上ないほど満たされていました。
生理の日は毎回しんどいのですが、娘の思いがけないやさしさと、目を見張るような成長を見せてもらい、私にとって一生忘れられない大切な1日になりました。
著者:藍田みのり/30代女性・夫、娘1人と暮らす専業主婦。地方銀行、貿易事務、保育園・障害児施設の運営などに従事。趣味は紅茶とゲーム。最近は家族で、公園や遊び場、観光スポットを開拓しています。
作画:ののぱ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
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