たかが数百円だけど…
私たち4人はある日、混雑する子育て支援センターよりゆっくり話せて、子どもも遊ばせられる地域の公民館の和室を借りて集まることにしました。ママ友の1人・Aが「私、そういうの手配するの得意だから! 近所の公民館の和室、私が予約してあげるね」と言ってくれたので、私たちはそれに甘えることにしたのです。
後日、Aから「1日利用で予約できたよ! お昼は各自用意で、利用料はひとり700円お願いね」と連絡がありました。ワンコイン+αで1日快適に過ごせるならと、私たちは誰も疑問を抱かず感謝して支払いました。その後も同じ条件の集まりが3回ほど続いたのです。
しかし別のママ友と話していたある日、Aたちと公民館を利用していることを話すと、「公民館って1日1,400円でしょ? 安くていいよね。私も今度使ってみようかな」と言われました。私は耳を疑いました。4人で使えば本来ならひとり350円で済むはず。それなのにAは、私たち3人から毎回700円ずつ、合計2,100円を集めていたのです。全体の利用料の1,400円を払っても、700円余る計算。つまりAは自分の利用料350円をタダにするどころか、毎回収益を出して自分のポケットに入れていたのです。
後日、私を含めた3人でAに「公民館の料金、1日1,400円だよね? 差額ってどうなってるの?」とグループラインで確認しました。するとAからは「私が予約してあげた分の手数料に決まってるじゃん。数百円で文句言うんだ?」と開き直った返信がきたのです。
その堂々とした物言いに私は開いた口がふさがらず、何も返信できませんでした。
さらに数日後、支援センターに行くと、Aが「私は幹事として動いてあげたのに、あの人たち、お礼どころか『お金多く取られた』って責めてくるの。ひどくない!? 被害者はこっちよ」と、周囲に聞こえる大声で自らの正当性を言いふらしていたのです。
しかし私はここで引き下がるわけにはいきません。私は事前に裏を取り、準備していた“あるもの”を持って、静かにAの元へ歩み寄り「Aさん、聞こえてたよ。でもね、ひとつ勘違いしてない?」と言いました。
私が差し出したのは、公民館の利用規約のコピーと、過去3回分の差額の請求書。私が続けて「利用規約に「営利目的の利用は禁止」って書いてあるよ。公民館の館長さんにも確認したら『個人が利益を得る目的で手数料を上乗せして集金することは、営利目的の利用にあたるので規約違反です』だって。最悪、利用停止処分になるそうだよ」と伝えると、Aの顔色がサッと変わりました。
「『手数料』としてお金を取るなら、それはもう立派なビジネスだよね? 営利目的で公的施設を騙して使っていたこと、今ここで館長さんに電話して説明しようか? それとこれ、私たちが多く払いすぎていた分だから、今すぐ返金してください」と私が言うと、周囲で話を聞いていたママたちも、Aのしたことの非常識さが伝わってきたのかみんなドン引き……。「ただの手間賃のつもりで……」とAは苦し紛れに答えましたが、周囲の視線に耐えかね、手持ちの現金で私たちにその場で返金をしてくれたのでした。
結局Aは、自分で悪評を広める形となり、夫の転勤が決まると、誰からも惜しまれることなく引っ越していきました。
たった数百円のことであっても、失った信頼は取り戻すことが難しいもの。どれほど親しい間柄であってもお金に関する透明性と相手への誠実さを決して忘れず、信頼関係を大切に育んでいこうと深く心に刻んだ出来事でした。
著者:池田いおり/30代・ライター。11歳と6歳の活発な男の子を育てるママ。仕事と子育てに奮闘しつつも、自分の時間を何とか確保してリフレッシュしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)