モヤモヤしつつも引き受けた理由
当時の私は、夫の意向で仕事をしていませんでした。しかも夫は朝7時過ぎに家を出て、帰宅は早くても21時過ぎという激務でした。そうなると、自治会の業務のほとんどを担うのが、私になるのは目に見えていました。
夫からはひと言の「お願い」もなく、当然のように話が進んでいくことにモヤモヤしていました。それでも私が自治会の仕事を担ったのは、「謝礼」が出ると聞いていたからです。
夫の意向で働いておらず、渡される生活費も十分とは言えなかった当時の私にとって、その謝礼は見過ごせないものでした。さまざまなモヤモヤを飲み込みながらも、私はそのために自治会の実務を担うことにしたのです。
案外ハードな業務
毎月決まった日になると、「これらを折り込んで各家庭に投函してください」と、複数のお知らせが玄関先にどさっと置かれていました。それらをほどき、世帯数分に仕分けて、一軒ずつ配って回るのが主な業務でした。
住んでいた地域には車が入れないほど狭い道も多く、夏の暑い日でも重い配布物を抱えて歩かなければなりません。玄関先で長話に付き合うこともあれば、子どものいなかった私たち夫婦に、踏み込んだことを聞いてくる方もいました。
さっと配ってさっと帰るつもりで半ズボンのまま出たある日、玄関先で呼び止められてしまい、帰宅するころには脚全体が虫刺されで腫れていたこともありました。思っていた以上に、自治会の仕事は体力も気力も使うものでした。
謝礼が振り込まれたものの
そうした自治会の業務も終わり、心待ちにしていた謝礼がようやく振り込まれる日が来ました。自治会長として登録されていたのは夫だったため、振込先は夫の口座でした。けれど夫が私に渡してきたのは、振り込まれた5万円のうち2万円だけでした。
思わず「どうして?」と理由を尋ねると、夫は
「自治会長として登録されているのは俺だから」
「自治会の会合で司会をしたのも俺だ」
と言いました。たしかに会合で司会をしたのは夫でしたが、司会を務めたのは2回だけでした。
その分け方では実際の負担に見合っていないと抗議しても、夫は「そもそも俺が自治会長として登録されていなければ、この2万円もなかった。それ以上言うなら、この2万円も渡さない」と言うばかりでした。私は納得できないまま、引き下がるしかありませんでした。
まとめ
この出来事をきっかけに、私は「収入を得る手段がないと、自分の努力や時間の扱われ方まで、ほかの誰かに左右されてしまうことがあるのだ」と強く気付きました。経済的な選択肢が限られていた当時の私にとって、それはとても大きな学びでした。
その後、紆余曲折を経て仕事に就き、私は夫のもとを離れました。今の穏やかな生活を思うと、あの自治会での一件は、自分の人生を取り戻すための転機だったのだと感じています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:遠藤ちよ/30代女性・主婦
イラスト:ゆる山まげよ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
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