フードコートで空いた席に座ろうとしたら
休日のショッピングモールで、幼い子どもを連れてフードコートを訪れた時のことです。
お昼時でとても混雑していましたが、運よく空席を見つけました。ほっとしてベビーカーを寄せ、家族で座ろうとした、まさにその瞬間です。隣のテーブルにいた女性が、さっと自分の荷物を私たちの椅子の上に置きました。
驚いて顔を上げると、その方は「ここも使うので」とだけ言い、すぐにスマートフォンの画面に目を戻してしまいます。周囲に順番を待っている人はおらず、席を広々使いたかったのか、それともあとから来るお友だちのための席取りだったのかなど、理由はわかりません。
子どもがぐずり始めていたこともあり、私は少し焦るばかり。勇気を出して「今、空いてましたよね?」と伝えてみたものの、相手は嫌な顔をして黙り込んでしまいます。どうしていいかわからず、すっかり途方に暮れてしまいました。
すると、その様子を見ていた近くのご家族が、「私たちはもうすぐ食事が終わるので、こちらへどうぞ」とやさしく声をかけてくださったのです。思いがけない言葉に張り詰めていた気持ちがスッと軽くなり、無事に席に着くことができました。
突然の理不尽な対応には戸惑い、最初は悲しい気持ちになりましたが、見知らぬ方のやさしさに触れ、最後はすっかり心が温かくなっていました。私もあのときのご家族のように、困っている人がいたら自然と手を差し伸べられるような、心に余裕のある親でありたいと、今は素直にそう思っています。
著者:尾道珠/20代女性/3歳の娘の母、会社員。趣味はドラマと映画を観ること
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
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